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山間集落にぎわう大法会

浄土宗和歌山教区日高組

2016年10月12日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

月照寺での餅まき。山間の集落に歓声がこだました(2014年11月9日)
月照寺での餅まき。山間の集落に歓声がこだました(2014年11月9日)

和歌山県日高川町の浄土宗尊光寺。檀家ゼロの寺に昨年11月、2日間で約460人が訪れた。参拝者で境内が埋め尽くされた両日には、地元出身の伝説的な念仏行者・徳本上人にちなむ「日高念仏大法会」が開かれていた。

「大法会」は、和歌山教区日高組(増田秀穗組長)が「浄土宗ともいき財団」の支援を受けながら、地域振興を目的に2014年から年1回開催している。法要だけでなく、特産物や農産物の直売コーナーなどもある。

過疎や少子化が地域社会を襲っている。「何かできないか」と日高組の僧侶らが考えを巡らした時、注目したのが17年に200回忌を迎える徳本上人だった。1758(宝暦8)年に生まれた上人は、厳しい修行を積みながら各地を巡り、熱狂的ともいえる念仏信仰を巻き起こした。

「大法会」を開くたびに、関わった僧侶らは地元の人々が上人、そして寺に寄せる思いをひしひしと感じ取っている。

檀家がない尊光寺は、地域の人々が守り抜いてきた。堂宇や境内を整備し、毎年11月23日には「徳本上人会式」を営んできた。「大法会」開催中は、手作りの同寺周辺の紹介パネルを用意し、上人の行場跡などを案内した。マイクを握って、参拝者のガイド役を務めた男性は「この地を選んで修行された徳本上人は、地域の誇り」と話した。

一昨年に会所となった月照寺(日高川町)では、寺がある大滝川地区の住民らが参拝者をもてなそうと「餅まき」を計画。前日に集落総出で6時間かけて準備した。やぐらから餅が入った袋がまかれると、子どもたちが手をいっぱいに伸ばし、山間の集落に元気な歓声がこだました。

大法会奉修委員会の初代事務局長を務めた印南町の白倉才次・西蓮寺住職(47)は「住職をしていると、どうしても檀家さんだけに目が向きがちになる。だが寺は本来、その土地の人々が建て、心の拠り所としてきた。私たち僧侶は、もっと地域を意識しなければならない」と語る。

次回の「大法会」は11月13日に、徳本上人が得度した往生寺(御坊市)で開かれる。

(丹治隆宏)