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「ネコ寺」でおもてなし

山口県萩市・臨済宗南禅寺派雲林寺 角田慈成住職

2017年2月22日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

4月の花まつりでは、白象ならぬネコの花御堂で誕生仏のお参りができる
4月の花まつりでは、白象ならぬネコの花御堂で誕生仏のお参りができる

「ネコ寺」として知られるようになった臨済宗南禅寺派雲林寺は近年、香港や台湾など海外からの参拝者も増えている。

角田慈成住職(46)は在家出身で、20年前に無住だった同寺を紹介された。「雨漏りがひどくて、雨を受けるタライを持って歩くのが初めの仕事だった」と笑う。

広島・三原の臨済宗佛通寺派大本山佛通寺で修行。もともとイヌ派だったが、同寺で保護した捨てネコがとてもなついたことからネコ派に。雲林寺には親戚や知人から譲られた招き猫、お参りに来た人たちが置いていったネコの置物などがあふれる。今では600体の置物や、4匹のネコが参拝者を楽しませている。

初めは地元の新聞社やミニコミ誌などが紹介し、次第にインターネットのSNSなどで広まった。交通の便が決して良くないにもかかわらず、観光客や参拝者が後を絶たない。

「ネコは情の薄いイメージがあるが、実際はそうではない」と角田住職が語るように、萩には飼い主を墓前で四十九日弔った後、自ら舌を噛んで死んだネコの伝説がある。

萩藩を創設した毛利輝元の死去(1625年)に伴い、忠臣の長井元房が自刃。さらにその主人の後を追ったのが元房の愛猫という。輝元と元房は天樹院(明治期に廃寺)墓所に祀られた。天樹院の末寺の雲林寺はこうしたネコたちの魂を慰め、ネコのイメージアップに努めている。

地域は限界集落で、住民の3分の1以上がこの地から離れている。県外に出た檀信徒が同寺の活動を耳にして喜んでくれていることも活動の励みになる。県外の孫やひ孫の世代が、祖父母のいる田舎に「面白いお寺がある」と聞いて、来てみたら菩提寺だったということも。こうして訪れた若い人たちには、お寺には先祖を祀る位牌堂があることなどを伝える良い機会になっている。

参拝者にはできるだけ声を掛け、番茶などを振る舞う。角田住職は「せっかくいらしてくださるのだから、気持ちが明るくなるように楽しんでお参りしてほしい。訪れた人と話し、その人が考えていることや身の上話などが聞けるので本当にありがたい」と語る。

(赤坂史人)