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にぎわう小江戸観光後押し

埼玉県川越市・浄土宗蓮馨寺 粂原恒久住職

2017年3月8日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

「おびんずる様」をなでる人や、「呑龍上人」へ安産子育て祈願をする人で境内はにぎわう
「おびんずる様」をなでる人や、「呑龍上人」へ安産子育て祈願をする人で境内はにぎわう

「おびんずる様」「呑龍さま」の愛称で地域の人々に親しまれている埼玉県川越市の浄土宗蓮馨寺は、駅前と観光の目玉である蔵造りのまち並みとのちょうど中間地点にある。粂原恒久住職(67)は「市内には約70カ寺、神社も同じくらいある。経済ばかりが優先されず、神仏の加護の中で落ち着いている」とまちの雰囲気を評価する。

川越は「小江戸」として知名度が高まっており、昨年の観光客は700万人を超えた。東京・池袋から電車で約30分。圏央道の全面開通により、関東各地からの車でのアクセスも格段に良くなった。「川越氷川祭の山車行事」が昨年、ユネスコの無形文化遺産に登録されたことも追い風に、ますます観光客が増えていくことが予想されている。

小江戸川越観光協会の会長も務める粂原住職は、「一昔前は川越に観光ブームがくるとは思ってもみなかった」と話す。市民運動の盛り上がりの中で、行政などへの働き掛けが実った結果だ。「我々は目に見えない大きな力に生かされている。“感謝”は、仏の教えのキーワードでもある。先人の様々な働きが今の我々のまちを生かしているのであり、それに気付いてこれからの自身の展望や指針を作っていくのが、仏様の導きに対する報恩にもなる」と話す。

蓮馨寺では、毎月8日に呑龍上人の縁日「呑龍デー」を長年にわたって開いており、地域の名物となっている。世相講談や伝統芸能の公演などがあり、境内いっぱいに屋台が軒を連ねる。また境内の講堂を多目的コミュニティーホールとして市民に開放。毎週のように講演会や展示会に利用されている。ただ、川越はアクセスが良いばかりに宿泊客が少ないという課題がある。少しでも貢献できるようにと、夜間も境内を開放し、祈願所を中心にLEDでのライトアップを始めた。

「関東十八檀林」の一つにも数えられた学問所としての伝統を受け継ぎ、境内に学寮を備えて子弟を受け入れている。粂原住職は「来た人にはニコニコ対応しなさい」と指導。「外部に上手にアピールすることで内部も充実していくのは、まちもお寺も変わらない」と笑顔で話した。

(佐藤慎太郎)