ニュース画像
内陣左側に掲げられた第14代宗主寂如上人の御影に礼拝する楠輪番
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> キラリ ― 頑張る寺社・宗教者リスト> 貴重な仏像知られず奮起 文化展開催、広がる縁

貴重な仏像知られず奮起 文化展開催、広がる縁

神奈川県横須賀市・臨済宗建長寺派満願寺 永井宗直住職

2017年7月5日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

運慶作と伝えられる重文・地蔵菩薩立像の宝前で法要を営む永井住職
運慶作と伝えられる重文・地蔵菩薩立像の宝前で法要を営む永井住職

運慶作と伝えられている木造菩薩立像(重要文化財)、木造地蔵菩薩立像(同)を祀る神奈川県横須賀市の臨済宗建長寺派満願寺。素晴らしい仏像を知ってもらいたいとの思いから始めたのが「春の文化展」だ。2日間にわたり、仏像の開帳、東洋蘭や書の展示、野点席、尺八演奏、御詠歌奉納などを催し、境内は大勢の人でにぎわう。

企画から運営までボランティアが中心に担い、永井宗直住職(53)が1日4回の法話を担当する。訪れた人がお寺や仏教に親しむのはもちろん、ボランティアとして関わる人たちが互いに助け合い、仲良くなっていく。「僧堂と同じように、ここは人間向上の場だ」と永井住職は話す。

永井住職が満願寺に入寺したのは1989年。その頃、檀家は3、4軒だったが「仏像に引かれて満願寺に入る決心をした」という。もともと親族が兼務住職を務め、檀信徒や地域住民を対象に坐禅会を開いていた。国や市の指定文化財にもなっている貴重な仏像があるにもかかわらず、地元の人にあまり知られていないのは残念と思い、「春の文化展」を始めた。訪れた人に行っていた仏像の説明が、やがて法話へと変わった。

坐禅会の参加者から「私が育てている蘭を春の文化展で展示したい」との要望を受けたり、知人の料理人に精進料理を依頼したりして縁が広がり、多種多様なイベントが企画されるようになった。

境内の駐車場には豪華に装飾された大型バイク十数台も展示され、お寺とバイクという異色の組み合わせに驚く人も。

当初は3日間にわたって開催し、多いときには2千人が訪れた。地元のラジオ番組に出演してイベントの告知をした時には、「番組を聞いて来ました」という人もいた。

今年は新たな取り組みとして「夜の文化展」を開催。東京・四谷の坊主バーの協力で「極楽浄土」という名前のカクテルをボランティアに振る舞った。

永井住職は「手伝っている人が楽しくなくては意味がない。人に役割ややりがいを与える力がお寺にはある。心に持っているそれぞれの不安を少しでも和らげることができれば」と語っている。

(甲田貴之)