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介護の悩み共有して 安らぎの場細く長く

東京都葛飾区 浄土宗香念寺

2017年7月26日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

参加者と下村住職(左から3人目)が車座になって自由に語り合う
参加者と下村住職(左から3人目)が車座になって自由に語り合う

東京都葛飾区の浄土宗香念寺で、奇数月の第3火曜日に「介護者の心のやすらぎカフェ」(ケアラーズカフェ)が開かれている。ため込んでしまいがちな介護に対する思いや体験を共有する場となっている。

「地域の資源である寺院を上手に活用したい」と考えていた下村達郎住職(35)が、誰にも相談できず孤立してしまうこともある介護者に安心して参加してもらい、その心に寄り添いたいとの思いで、昨年11月から始めた。

カフェの会場は同寺客殿。参加費は無料で寺側が茶や茶菓子を用意する。家族の介護に追われてまとまった時間が取りにくい人にも気兼ねなく立ち寄ってほしいと、途中参加、途中退出は自由。檀信徒を中心に、地域の介護経験者や介護支援専門員(ケアマネジャー)など、毎回10人前後が参加している。18日でカフェは5回目を迎えた。

「超高齢社会が到来しつつあり、介護は人ごとではなく誰もが当事者になり得る」と下村住職。現在介護に当たっている人だけでなく、将来介護する立場になったときの備えとして話を聞いておきたいという人や、介護で苦労した自分の経験を役立ててほしいという人も参加し、車座になって自由に語り合う。

介護行政への不満や、「介護疲れ」「介護格差」などに関する深刻な悩みだけではなく、「笑顔を見せてもらえた時はほっとした」といった介護が報われたと感じた体験も共有している。

回を重ねるうちに、同じ参加者でも、語る内容が表面的なものから少しずつ具体的な思いの吐露へと変わってきた。「オムツは恥」と考えている要介護者に対して、「紙パンツ」と言い換えたことで交換の際の抵抗がなくなったことなど、ちょっとした気遣いの工夫の大切さを訴える人もいた。

「介護について誰かに相談できる場があれば、それだけで目先を変えられる」「お寺が会場で、お坊さんに話を聞いてもらえるのは安心感がある」「来た時と帰る時では気持ちが全然違って、すっきりする」との感想も寄せられている。

下村住職は「細く長くでも継続していくうちに地域に定着していけば」と話す。今後は、カフェでできた縁を大切にしながら、檀家やリピーター以外の参加者も少しずつ増やしていきたい考えだ。

(佐藤慎太郎)