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境内をハスで荘厳 檀信徒の喜び励みに

京都市左京区・浄土宗大蓮寺 芳井教哉住職

2017年8月23日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

手塩にかけたハスに囲まれる芳井住職
手塩にかけたハスに囲まれる芳井住職

通路を残して本堂前は、ハスで埋め尽くされていた。大蓮寺の山門をくぐると、まるで蓮池の中を歩いているかのような気分を味わえる。「そんなにたくさん育てているわけではないんです。60鉢ほどです。ここの特徴といえば、ハスのすぐ近くまで寄れることでしょうか」と芳井教哉住職(52)は謙遜する。

通路際まで大きな葉っぱがせり出す。ゆっくりと眺めると、白くかれんな立ち姿を見せる花もあれば、幾重にも花びらが層をなす花もある。色も純白や、淡いピンクなど様々だ。30~40種類ほどあるという。「それぞれの僧侶は音楽やお話で極楽の荘厳を再現するが、ハスもその荘厳の一つ。極楽の様子を表すハスの間を通って、本堂にたどり着いてもらえれば」と語る。

芳井住職が栽培を始めたのは15年ほど前。子どもの頃は、祖父が数鉢育てていた。亡くなった後は、おじがハスを引き取ったが、育てるのが「しんどくなった」と戻ってきた。

栽培には手間も体力も要る。水やりは欠かせない。開花し、気温が30度を超えるようになると、鉢を満たしていた水が1日でなくなり、土が現れるほどだ。

それだけではない。毎年、必ず植え替えをしなくてはいけない。春彼岸が終わった頃、鉢の土を全て出す。芽が出るレンコンを見極めて、新しい土を敷いて埋め戻す。前年の咲き姿や色を思い浮かべながら、鉢を並べ直す。「単純にハスが咲くのが好きだったが、他の方に見せるようになると、プレッシャーも感じる」と言う。

5年ほど前から、口コミで訪れる人が増え、テレビや雑誌で紹介されたこともあって、今ではシーズン中の土・日曜は境内が混雑することも。

栽培の活力は、檀信徒の声だ。「檀家さん、信者さんが喜んでくれるのが、何よりうれしい」と話す。

大蓮寺にハスが戻ってきた頃、咲いたのを見た檀家が「うちのお寺を、こんなにきれいにしてくれて」と喜んだ。

同寺は2005年に再興された洛陽三十三所観音の第8番札所でもある。巡礼は春秋の時期に多いが、ハスを楽しみに、あえて暑い夏に大蓮寺を参拝する信者たちもいる。「体力が続く限りは続けていきたい。お参りに来てよかったという印象を持ち帰ってもらえれば」と芳井住職は願う。

(丹治隆宏)