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遺志継ぎ大仏造立 ここを仏教の発信地に

東京都日の出町・曹洞宗宝光寺 八坂良秀住職

2017年10月18日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

日の出町の市街地を眺望するように18メートルの鹿野大仏を建立する八坂良秀住職。撮影場所は大仏の背面側。来年4月の完成を予定している
日の出町の市街地を眺望するように18メートルの鹿野大仏を建立する八坂良秀住職。撮影場所は大仏の背面側。来年4月の完成を予定している

都心から車で1時間半ほどにある東京都日の出町は自然に恵まれ、塔婆や棺桶の製造が盛んな土地だ。この緑豊かな地に、鎌倉大仏を超える高さ18メートルの仏像の造立が進んでいる。

建造するのは曹洞宗宝光寺の八坂良秀住職(63)だが、もともと先代の昭道住職(故人)が発願した。同寺は江戸~明治時代に度重なる火災で諸堂を焼失。昭道住職が七堂伽藍を整備する大事業を成し遂げ、さらに西多摩の地を仏教の発信地にしようと、大仏の造立を願った。しかし、東京都宗務所長在任中の1995年に急逝したため、その遺志を良秀住職が継いだ。

2013年の総代会で建設委員会を発足。良秀住職は「寺院経営も厳しくなる中、何もしない方が楽だが、大仏造立は師匠の遺言。東日本大震災で仲の良かった友人を亡くしたことに加え、熊本地震もあり、早く大仏を迎えて供養したい」と語った。

檀信徒から勧募せずに事業を進めようとしたが、檀信徒の中には「造立に協力したい」というありがたい声も湧き上がった。

現在は台座(3メートル)と蓮華座(同)が設置され、山形県内で鋳造している仏身12メートルの青銅製の大仏を運び、4回ほどの工程で組み立てる。

造立地は町の中心から遠望できる山の中腹で、寺域の林を切り崩して造成した。造立地までの参道に橋を架けたり、ハス池を造ったりするなど、参詣道の整備も大規模な事業になった。この山を「鹿野山」とし、大仏を「鹿野大仏」と命名。古くは山の麓から泉が湧き出し、その泉で鹿が傷を癒やし、時代が下って明治初期まで「鹿の湯」として湯治客でにぎわった。

台座の中には、大仏の足と同寸の仏足を奉安し、東南アジアの風習のように参拝者が金箔を張ってお参りできるようにする。来年4月の完成を予定している。

良秀住職は「気持ちよくお参りを頂けるように準備を進めている。維持管理も大変で本当に命懸けの事業だが、ここが仏教の発信地になればうれしい。町の産業にも多少なりとも経済効果があれば」と期待している。

(赤坂史人)