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人形数千体を毎年供養 毎日受け付け全国から

滋賀県東近江市 臨済宗妙心寺派大徳寺 藤田宗裕住職

2017年10月25日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

総供養で導師を勤める藤田住職
総供養で導師を勤める藤田住職

人形供養の寺として知られる滋賀県東近江市の臨済宗妙心寺派大徳寺。全国から毎年600~700件、一人で10体、20体を持ち込む人も多く、数にすれば数千体を供養している。藤田宗裕住職(41)は「お寺が地域の役に立ち、仏教に触れてもらうきっかけになれば」と話す。

始めたきっかけは15年ほど前、「役目を終えた人形の扱いに困っている」と近所の人形店に問い合わせがあり、その店が「お経を上げてほしい」と依頼してきたことから。地元の能登川地区は今も地蔵盆が盛んな土地柄だが、当時副住職だった藤田住職は「こういう形でもお寺が地域に役立つことができるのか」と思い、供養を始めた。

最初は人形店に持ち込まれた人形を供養し、焚き上げていたが、やがて寺で受け付けを始めると、ものすごい数が届くようになった。藤田住職は、それだけ困っている人が多いことに気付かされたという。

人形の持ち主は9割が女性。ひな人形が多く、縫いぐるみの場合もある。娘が嫁いだり、成人した時などに持ってくるケースが多い。

中には「この人形が自分に悪影響を及ぼしている」と悩む人も。それはその人の心が迷っているからで、藤田住職は「人形は悪い事をしません。むしろ、ご自分の成長を見守ってくれていたと感謝してください」と話すという。子どもに先立たれ、遺品の人形を持ち込んだ母親など、人形との別れで涙を流す人もいる。「そういうときは、亡くなった方の法事をする気持ちでお経を上げさせてもらいます」

供養するのは人形に限らない。端午の節句に飾る鎧兜もあり、中には動物の剥製やマネキンを持ってくる人もいる。だが、その人たちは単に「物」として扱えずに困っているから届けに来たのであって、それらも全て受け付けている。

今では人形供養が同寺の法務の4割を占めるまでになった。受け付けは毎日、いつでもオープンにしている。供養は毎週行い、11月の第3土曜日には総供養を営む。ダルマが持ち込まれた場合は、別途に10月の達磨忌で供養する。

藤田住職は「お寺はいつでも誰でも自由に立ち寄れて、手を合わせて心の安らぎを得ていただく場所。私自身そういう所で育てていただいたので、その御恩に報いたい。お寺がお役に立てる場にしていかないと、仏教が生き残っていけないと思います」と話している。

(萩原典吉)