ニュース画像
健康長寿・病気平癒の祈願道場として建立された醫王殿(右奥)
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> キラリ ― 頑張る寺社・宗教者リスト> 聞法会平日夜でも活気 他派僧侶や他寺院門徒も

聞法会平日夜でも活気 他派僧侶や他寺院門徒も

滋賀県長浜市 真宗大谷派長源寺

2017年11月22日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

瓜生住職㊨の講義に熱心に耳を傾ける宮尾住職(中央奥)や綾子坊守(同㊧)をはじめとする門徒ら
瓜生住職㊨の講義に熱心に耳を傾ける宮尾住職(中央奥)や綾子坊守(同㊧)をはじめとする門徒ら

滋賀県長浜市の真宗大谷派長源寺は、所属門徒数十軒の小規模寺院。宮尾卓住職(40)は大谷派長浜別院の法務担当職員、綾子坊守(41)は医療事務員として日中は働きに出る典型的な兼業の寺だ。

しかし、明快かつ情熱的な法話に定評のある瓜生崇・大谷派玄照寺(同県東近江市)住職(43)を講師に4年前から聞法会、2年前から仏教書の輪読会を毎月1回ずつ継続。平日の夜にもかかわらず30人前後が集い、活気がある。口コミなどの評判で他派の僧侶や他寺院の門徒も少なくない。

聞法会は長源寺門徒の清水賢重さん(67)が「正信偈の偈文の意味を知りたい」と、宮尾住職に勉強会の開催を提案したのがきっかけで始まった。現在は正信偈を終え、『歎異抄』を取り上げている。

『歎異抄』は親鸞聖人が罪悪深重の凡夫としての我が身に向けた、鋭く深い洞察で知られる。10月11日の聞法会では瓜生住職が、仏法に通じていても不幸や困難が起きればもだえ苦しむ人間の性について「それはこれまでの教えに対する『納得』が自分の人生の中で間に合わなくなるから。『私の納得』は崩れていくものだ」と凡夫の有様を力説した。

瓜生住職の言葉の一つ一つに何度もうなずく宮尾住職。綾子坊守や他の出席者もメモを取りながら集中して聞いている。

長源寺門徒の武田幸太郎さん(69)は「『これで納得した』と思っても、聞法会に出席するたびにその『納得』をひっくり返される。仏法はとても深い」。近所の寺の門徒で武田さんの従弟の川﨑節夫さん(68)は「人生には世間の常識や考え方では解決できない課題がある。それが一番大切だと思って聞法している」と真剣な目つきだ。

今年から毎回参加している岐阜県揖斐川町の石井法水・浄土真宗本願寺派等光寺住職(43)は「ここは居心地が良い。それは『法を聞きたい』という人の集まりだからだ。これが本来の『法友』や『同朋』だと思う」と長源寺の取り組みに刺激を受けている。

同寺にはこの他、婦人会の月例会もある。兼業の多忙さの中で月に3度も法座を開くのは楽ではないが、宮尾住職は「それがお寺としての基本。そして、それによって自分の背中を押されている気がする」と話す。ただ、こう言って照れ笑いした。「でも、本当は私自身が法を聞きたいだけなんです」

(池田圭)