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障害者と暮らせる町に 「ごちゃまぜ」で生きる力

石川県白山市・佛子園 雄谷良成理事長

2017年11月29日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

行善寺の福祉施設で利用者と歓談する雄谷良成理事長(左から2番目)
行善寺の福祉施設で利用者と歓談する雄谷良成理事長(左から2番目)

キーワードは「ごちゃまぜ」。従来の福祉施設の概念にとらわれず、障害者、高齢者、子ども、地域の人たちが共に暮らせる町づくりを進める。様々な人が集まるからこそ生きる力が湧いてくるという理念は、『法華経』に説かれる「三草二木」の例えに基づくものだ。

石川県白山市の日蓮宗行善寺(雄谷助成住職)に隣接する、佛子園本部の福祉施設。館内は木調を生かした造りで、明るい音楽が流れる。高齢者介護、児童発達支援などの拠点だが、お酒も飲めるそば処やカフェ、誰でも利用できる温泉、スポーツジムも併設され、タオルを手にした近隣住民が行き交う。

そば処で注文を取ったり館内を掃除したりして障害者も働き、保育園では障害のある子とそうでない子が隔てなく遊ぶ。知的障害の子が時々上げる大きな声にも、気にするそぶりを見せる人はいない。スポーツジムの女性トレーナーは「ここで初めて障害者と接したという会員さんも多い。最初戸惑っても皆さんすぐに慣れる」と話す。

佛子園は戦後、親を失い行き場のなくなった知的障害児たちを、故雄谷本英・行善寺前住職が預かったことに始まる。1960年に社会福祉法人を設立し、同寺では数十人の子どもたちが共同生活を送っていた。現在は金沢市の日蓮宗蓮昌寺住職を務める雄谷良成理事長もその中で育ち、障害のあるなしに関係なく暮らした経験が「ごちゃまぜ」の原体験となった。

佛子園は県内6カ所を拠点に福祉施設を運営。温泉施設や地ビール等の飲食施設を運営し、地域の人々が集う場で働く障害者が機能する環境をつくっている。資質は異なっても誰もが悟り世を救う者になれるという三草二木の教えの具現化だ。中でも大規模なShare金沢は、約3万5千平方メートルの敷地に福祉施設や住宅、レストランなどが立ち並ぶ“ごちゃまぜの町”で、高齢者移住施設「CCRC」としても注目される。

「専門家でも個々にできることは限界がある。かつてのお寺は地域コミュニティーの中心で、いろんな分野の人が寄り集まっていたから大きな力を発揮できた。住職に求められるのは、世の中が良くなるように人を束ねるリーダーシップ」と良成理事長。月参りなどで日常的に檀家と接し、住民の声に耳を傾けることが何より必要だと強調する。「僧侶も地域に育てられる」というのが実感だ。

(有吉英治)