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催事実施でNPO 寺での活動しやすく

大阪市鶴見区 真宗大谷派願教寺 多藝啓隆副住職

2018年1月31日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

催事の時には近所の人たちがたくさん集まり、交流のきっかけとなる
催事の時には近所の人たちがたくさん集まり、交流のきっかけとなる

花博が開かれた大阪市の鶴見緑地から南に約2キロ。静かな住宅地にある真宗大谷派願教寺の門前に時折、朝から行列ができる。2、3カ月に1度開かれる「寺市」の日だ。野菜や和菓子、雑貨などを売る台が境内に並び、近所の人が大勢集まってくる。主催は、多藝啓隆副住職(34)が立ち上げたNPO「縁遊」。寺と分離することで活動の自由度を高めている。

地域コミュニティーの場として寺院を活用し、人々の触れ合いが減りつつある状況に歯止めをかけようと、2013年にNPOを設立した。寺市だけでなく、落語会や餅つき大会、ヨガ教室、婚活イベントなど、人の集まる行事を開いている。

14世紀頃に開創された同寺はいわゆる町寺。これまで特別な活動はしていなかったが、多藝副住職が学生の時に同世代の若者の多くが自分の家の宗派も知らないことに危機感を抱き、地域に開かれたお寺づくりに乗り出した。

NPOを立ち上げたのは「お寺とのクッションになる」からだ。企業や行政へのアプローチがしやすく、もし催事中に事故が起きても門徒に迷惑を掛けなくて済む。「宗教法人として協力を申し込むと敬遠される所でも、NPOなら話が進みやすい」という。

まだ今は自坊だけを会場にしているが、他の寺院に活動が広がりやすいとも考えている。「何かやってみたいがどうしていいか分からない、寺族や檀家の了解が得られるか心配、という人もいるはず。試しにNPOを使ってみて、一歩踏み出すきっかけにしてほしい」。催事を独自にできると思えばその寺院主催にすればいいし、縁遊が続けてもいい。一カ寺でも多く、地域と共に元気になることを望む。

催事のお知らせは、月参りでのチラシの手渡しや回覧板・掲示板、ネット等を活用。次の月参りの時に感想を聞き、改善していくのも楽しみだ。NPOなので布教の類いはしないが、仏教について質問されることもあり、仏教との橋渡しになっていると感じている。

活動を始めてから、門徒との距離が縮まり、門徒でない人にも道で声を掛けられるようになった。「地域の人たちがみんな顔見知りになると、安心して暮らせる町になる。それを伝統文化を通じて実現できれば」

(有吉英治)