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海外の人々にも禅伝え 「安心」を与える僧侶に

京都市右京区 臨済宗妙心寺派大本山妙心寺塔頭退蔵院 松山大耕副住職

2018年2月14日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

米国の学生らが退蔵院で書道体験を披露。右が松山副住職
米国の学生らが退蔵院で書道体験を披露。右が松山副住職

毎年、京都市右京区の臨済宗妙心寺派退蔵院では米国の著名大学の学生が坐禅体験を行い、松山大耕副住職(39)が指導している。特にスタンフォード大は十数年前から夏と冬の2回来寺しているが、今年から松山副住職は同大の集中講義(1単位30時間)の講師も担当することになった。同大が各国の都市で開く授業の一環で、日本では京都にホームステイしながら同志社大で日本語の授業などが行われる。

海外の人々との交流について、松山副住職は「もともとバックグラウンドが違うので、こちらの思いが伝わらないこともありますが、年々日本の仏教、禅を求める人が増えている感触があります」と話す。欧米ばかりでなく、ここ1、2年、特に中国から坐禅の体験だけを求めて退蔵院を訪れる人も増えてきたそうだ。

松山副住職は2015、16年の日米リーダーシップ・プログラム(米日財団主催)に参加。両国の様々な分野の次代を担うリーダーが集い、研修と交流を深めるものだが、そこで「私たちがこれまでやってきたことに自信を持っていいという手応えを感じました」。効率性によらず、また何事も白黒つけようとする二元論でもなく、深い精神性を備えた禅は現代にこそ求められていると確信したという。

日々の檀務はもちろん、講演や執筆活動をはじめ、国内外の人々に禅を伝えている松山副住職だが、学生時代には僧侶になることにためらいがあった。

転機は、長野県飯山市の原井寛道・正受庵住職(故人)との出会いだった。当時、東京大大学院農学生命科学研究科で学んでいた松山副住職は、半年間農家に住み込む研究のため長野を訪れた。そこで出会った原井住職の姿に衝撃を受けた。

雪深い飯山の地で檀家もなく、托鉢だけで生活している原井住職は、ある詩人から「寛道さんの托鉢の声を聞くと飯山の町に安心が広がる」と詠まれる存在だった。「その後、正受庵に泊まらせてもらったり、平林僧堂での修行(3年半)後、一冬を正受庵に置いてもらいました」

当時を振り返り、「人々に安心を与えるのがお坊さんの役目だと直感的に思ったし、和尚さんが魅力的でした。私はあんなすごい人にはなれないし、与えられた使命も違うと思うけれど、和尚さんから得た、お坊さんはかくあるべきという精神はどんな立場になっても忘れないでいたいと思います」。

(萩原典吉)