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仏法説くだけで人集まる 求めに応じ平易に伝える

大阪府豊中市 浄土真宗念仏道場桜蓮寺 平野正信さん

2018年3月14日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

参加者に真宗の教えを解説する平野さん
参加者に真宗の教えを解説する平野さん

阪急岡町駅から徒歩約5分の閑静な住宅地の一角に「浄土真宗 念仏道場 桜蓮寺」の表札を掲げた広さ約20畳の品の良い平屋の建物がある。浄土真宗本願寺派僧侶の平野正信さん(37)が主宰する聞法道場だ。

平野さんは大阪府池田市の在家出身。実家が学習塾を経営している関係で龍谷大教育学部に進学したが、必修科目の「仏教の思想」を受講したのがきっかけで3年の時に真宗学科に転入。さらに同大大学院実践真宗学研究科に進み、得度したという異色の経歴を持つ。

道場は同府豊中市で暮らす真宗大谷派門徒の叔母が自宅の敷地を提供してくれた縁で2013年に建立。実家の学習塾の講師を務める傍ら、花まつりや報恩講など隔月の法要や、毎月の法話会・勉強会などを地道に続けている。勉強会は茶を飲みつつ、ゆったりした雰囲気で行うスタイルだ。

道場の設立やその運営は「流されるままにやっている。宗教法人の取得は今のところ考えていない」と自然体だが、活動の背景には「お坊さんは当たり前に存在する門徒ばかりを相手にし、一般の人に踏み込んで教えてくれない冷たさがある」との思いもある。「例えば『般若心経について教えてほしい』と言っても『真宗では般若心経は読まない』と答えて終わり。『真宗では正信偈を読む』と続けて教えてくれたりはしない」

大学院ではインターネット伝道を研究し、教えを一般の人にも分かりやすく伝える工夫やフットワークの軽さを示す新宗教教団の手法と、伝統仏教教団の拙さとの大きな差を痛感したという。

道場の行事案内は主にインターネットで告知し、参加人数は数人から20人ほどとまちまちだが「菩提寺の住職がきちんと教えを教えてくれない」と話す門徒や、新宗教の元信者、「妻を亡くしてどうすればよいか分からない」と訴える人など「宗教的に迷子の人」が多い。「イベントをせずとも、仏法を分かりやすく説くだけで人は寺や道場に集まる。仏法を求めている人はちゃんといるんです」と話す。

真宗の教えに引かれたのは「『私』を軸に考えるのではなく、阿弥陀仏の物差しで考える。そのためには『私』を変えなくてはならない。自分がより良いものに成長するための学びではなく、自分の有り様を知らされる学びに転換させられた」という実体験が大きい。

道場に集う人々はその教えを学ぶ仲間だ。「道場をつくって良かった」とほほ笑む。

(池田圭)