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地域一体でイベント にぎわい生み出すお寺

埼玉県春日部市 浄土宗圓福寺

2018年4月25日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

寺宝公開の他、和太鼓演奏など多彩な催しで、今年の圓福寺まつりも多くの人々でにぎわった(4月1日)
寺宝公開の他、和太鼓演奏など多彩な催しで、今年の圓福寺まつりも多くの人々でにぎわった(4月1日)

埼玉県春日部市の東武鉄道一ノ割駅から、徒歩約3分の浄土宗圓福寺。池田常臣住職(60)は「お参りしたくなるお寺」を目指すとともに、歴史・風土の中で培われた文化や伝統、地縁などを活用した地域活性化に取り組んでいる。

その象徴的な事業が、毎年4月の第1日曜に開く「圓福寺まつり」。同寺単独ではなく、町会、商店会、隣接する神社との共催。地域のイベントとして定着し、年々にぎわいを増している。

池田住職は「地域もお寺も疲弊していく大変な時代にあって、地元がより元気になり、来ていただいた皆さんに楽しんでもらえれば何より」と話す。共催者からは「お寺を会場に、地域の催しができるのはありがたい」と感謝の声も聞かれる。

今年は1日の開催。曼陀羅堂に納められている寺宝(「厨子入木彫當麻曼陀羅図」等、市指定有形文化財)の年に1度の堂内拝観、花まつりの稚児行列、「子育て呑龍上人」像の開帳、日本三大盆踊りの一つ「秋田西馬音内盆踊り」の奉納、地元の太鼓会による和太鼓奉納演奏、本堂での音楽演奏会などが行われ、地域住民による模擬店やフリーマーケット、抹茶席もにぎわった。

同寺は、江戸時代初期に活躍した徳僧・呑龍上人(1556~1623)がその門前に生まれ、手習いに通っていたことから上人の誕生地として知られる。かつては「子育て呑龍さま」に子どもの無事成長を願う講が各地に組織され、8日の縁日、特に4月と10月の例大祭には多くの参拝があった。そういった由来から花まつりも兼ねてと先代住職が始めた「圓福寺まつり」。2003年に池田住職が寺を継いで以降、より地域密着型に発展させてきた。子どもの頃講員だった人たちが足を運び、開帳された上人像と数十年ぶりの再会を喜ぶ姿もあるという。

最寄りの一ノ割駅は、同寺が春日部駅と武里駅の中間にあり、参拝者の不便に心を痛めた先々代住職の尽力によって大正期に開設された。いわば地域と一体となって歩んできた歴史がある。

「圓福寺まつり」は、寺に伝わる文化財や檀信徒を中心とする地域住民の協力体制など、寺院の持つ潜在的な資源をうまく結び付け、さらにはまつりを通じて新たに結ばれた人と人との縁に支えられて営まれている。「ここにお寺があって良かった」、そう思ってもらえるよう池田住職は取り組みを続けている。

(佐藤慎太郎)