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心に憩いを「歌声喫茶」 ギター奏で懐かしの曲

奈良県下市町 浄土真宗本願寺派立興寺 稲田多純住職

2018年6月20日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

得意のギターで歌の伴奏をする稲田住職
得意のギターで歌の伴奏をする稲田住職

「赤い夕陽が校舎をそめて……ああ高校三年生」――本堂に響く懐かしい昭和歌謡。住職がギターを弾き、集った人々が一緒に歌う。青春時代を思い出して涙を浮かべる人の姿も。奈良県下市町の浄土真宗本願寺派立興寺の稲田多純住職(53)が2012年に始めた「歌声喫茶」は、地域の人々の心の憩いの場として人気を集める。

立興寺は「歎異抄」を著した唯円大徳(1222~89)の往生の地として知られる。下市町は吉野山の入り口に位置し、かつては大きな市が立つ宿場町として発展。念仏の教えを求める人たちの要請に応え、常陸国で教化に当たっていた唯円が晩年に下市を訪れた。そして、念仏の道場として同寺を開き、68歳で死去した。

にぎわいを見せた下市町も現在では過疎、高齢化が進む。2008年に第23世を継職した稲田住職は、寺院活動の活性化を願い、仏教婦人会や仏教壮年会の活動としてコーラスやグラウンドゴルフなど多彩な活動を推進してきた。その一つとして思い付いたのが、歌声喫茶。青春時代に戻って本堂で一緒に歌を、ということだった。

高校時代からギターを趣味とし、「松山千春やかぐや姫をよく弾いていた」という稲田住職の演奏に、音楽大卒の郁子坊守のピアノ伴奏が花を添える。

曲目は、昭和歌謡からフォークソング、童謡までいろいろで、最近では事前に参加者からリクエストが寄せられるようになったという。

参加者は茶や菓子を味わいながら、出会いや別れ、青春時代の思い出など様々なことを胸に歌を楽しみ、曲と曲の合間には稲田住職が歌詞の解説や豆知識を語り、盛り上げている。最初と最後に「真宗宗歌」と「恩徳讃」を歌っているが、浄土真宗の門徒や仏教徒ばかりではないため、法話に類することは一切話さない。「本堂で、仏様の前で一緒に歌う楽しさを味わってもらえればいい」と稲田住職。

「敷居を低くして、お寺を身近に感じてもらえたらという願いで始めた歌声喫茶。最初は一回だけ試しで行ったのですが好評で、季節に1度、年4回のペースで続けています。これまで一度もお寺に来ることのなかった門徒さんが参加してくれたのは、本当にうれしかったですね」と目を細めた。

25回目となる次回の開催は8月26日。

(河合清治)