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精進料理の魅力伝える 旬の食材どう生かすか

東京都豊島区・曹洞宗全昌院 安達良元住職

2018年6月27日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

毎月開く精進料理の教室で、心得や調理のこつなどを指導する安達住職(奥右)
毎月開く精進料理の教室で、心得や調理のこつなどを指導する安達住職(奥右)

東京都豊島区の住宅街の一角にある全昌院。安達良元・住職(64)は「終活セミナー」や日曜坐禅会、写経、太極拳、チャリティーバザーなど様々な取り組みで、地域住民や檀信徒とのつながりを深めている。

同寺は昭和10年代、福井県若狭町から東京に出た安達住職の父親が開いた。師匠や兄弟子らは僧堂の料理を作る典座を務め、安達住職も大本山永平寺の典座で精進料理を学んだ。そこで、全昌院は10年ほど前から精進料理教室「三心会」を開き、その魅力を伝えている。

毎月1回の開催で、6月14日は6人が参加した。安達住職は初めに旬の食材を使ったメニューをホワイトボードに書き出した。「ソラ豆とジャガイモのピーナツ和え」「ピーマン焼き」「インゲン豆の当座煮」……。それを見た一人の生徒が「また、ソラ豆?」とこぼした。

安達住職は間髪入れず「食材の旬には『走り』『盛り』『名残』がある。それによって調理方法も違う。うるさく言えば切り方も変わる」などと丁寧に説明した。

参加者は料理を作る前に、道元禅師が著した『典座教訓』に書かれた料理の心構え「三心(喜心・老心・大心)」を声に出して唱えた。調理中は、安達住職が料理のポイントやコツを伝授。調味料は目分量。生徒は一緒に調理しながら、メモを取る。

味見をすることが多いのも、この料理教室の特徴だ。調理途中の味、調味料が染み込む前、その後など何度も味を確認する。

「普通の料理教室はレシピがあって、途中経過での味見はない。だから料理教室に通っても、意外に料理が上手にならなかったりする」と安達住職。

インターネットでこの教室を見つけ、初めて参加した50代女性は「毎日作る料理は、調味料の用途や分量が決まっていて面倒だと思っていたけれど、目分量でも途中で味を見ながら調整すればいいんだと分かった」と語った。

三心会発足当初から参加する檀家の恩田宣子さん(73)は「ここでは第一に食材や物を大切にするということを学ぶ。それに家庭では使わないような珍しい食材に出合えるのも楽しい」と笑顔を見せた。

(赤坂史人)