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苦悩に裏打ちされた法話 口コミで評判、法座20年

浄土真宗本願寺派 宮田公子布教使

2018年7月4日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者)

法座で「恩」について説く宮田布教使(5月17日)
法座で「恩」について説く宮田布教使(5月17日)

浄土真宗本願寺派布教使の宮田公子さん(71)が、滋賀県東近江市のJR能登川駅前にあるビジネスホテルで毎月開いている法座「白蓮会」が盛況だ。毎回、滋賀を中心に愛知、福井、三重の各県から30~40人の僧俗が聞法に訪れる。

公子さんは熊本県の在家出身。佐賀県の高校教員になり、同地で自営業を営む紀一さん(76)と結婚した。転機は1985年。教員としての行き詰まりや体調不良、夫婦関係の悪化などに悩む中、紀一さんの親族に誘われて地元の本願寺派寺院の法座に参加したのがきっかけで聞法に励むようになり、同派の中央仏教学院の通信教育も受講。96年に得度した。

一方、紀一さんも事業失敗の苦悩を機縁に発心して93年に本願寺派で得度。公子さんが得度した96年に夫婦で宗教活動に人生を捧げることを決意し、住職後継者を求めていた滋賀県愛荘町の正光寺に入寺した。

正光寺は門徒17軒。「寺院収入のみでは生活不可」だったが、夫婦は「私たちからの条件は毎月2回、定例法座を開くことだけ」と申し出て、96年12月から「愛語会」と名付けた法座を毎月開催した。当初は数えるほどの参加人数だったが、公子さん自身が抱えた人生の苦悩に裏打ちされた法話の評判が口コミで広がり、聴聞に訪れる人が増えていった。

寺の門前で会社を経営する門徒の小泉敏夫さん(70)は夫婦の理解者の一人だ。「最初は『見たこともない人がたくさん寺に来ている。ちょっと様子を見てきて』と妻に言われて見に行った程度の関わりだった」と笑いつつ、「私は『人に負けてはならない』という気持ちが強かった。しかし、宮田先生のもとで聞法するようになってからは、感謝を忘れない気持ちが強くなった。周囲からは『小泉さんのイメージが変わった』と言われたこともある」と話す。

夫婦は家庭の事情で昨年3月に正光寺の住職・坊守を退任し、神奈川県横須賀市に居を移したが、法座の中止を惜しむ小泉さんらが現在のホテルの一室に会場を確保して法座を継続している。

公子さんにとって、前半生は「荒れ狂う煩悩」に翻弄される苦しい生活だった。しかし、苦悩や迷いを抱えた、そのままで救われると説く真宗の教えを道標に歩む後半生は「忌まわしい過去がむしろ輝いて見える。煩悩からは逃れられないが、『無碍』の味わいを日々の生活から頂いている」と柔和な笑みを浮かべた。

(池田圭)