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独自性に磨きかける シンボルのウサギ活用

さいたま市浦和区・調神社 吉田正臣宮司

2018年9月5日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者・宗教施設)

「ウサギはこの神社のシンボル」と語る吉田宮司
「ウサギはこの神社のシンボル」と語る吉田宮司

JR浦和駅から程近い約3千坪の境内に、ケヤキやムクノキの古木が生い茂る。閑静な雰囲気に包まれた調神社(さいたま市浦和区)は、浦和総鎮守として地元住民から「つきのみや」の愛称で親しまれている。吉田正臣宮司(57)は「神社とまちは表裏一体。地域が栄えれば神社も栄え、神社が元気だとまちも元気になる、という良い相互関係を築くことができる。いわば神社は地域のバロメーター」との信念を持っている。

旧中山道沿いに鎮座する同社は、第10代崇神天皇の勅創と伝わり、10世紀に成立した『延喜式神名帳』にも記載のある古社。「調」の読みが「月」に通じることから、ウサギを神使と見なすようになったという。そのため、狛犬ではなくウサギの石像一対が配されるなど、境内の至る所に歴代の氏子から奉納されたウサギの彫刻や石像がある。

吉田宮司は「まずは今あるものをしっかりと整え、皆さんにその意義を含めて分かってもらうことが大事」と、無理に新しいことを始めるのではなく、同社ならではの特色をより生かすことに力を入れている。境内の荒れ地や柵、老朽化した施設などを少しずつ整備しているのもその思いの表れだ。

「ウサギはこの神社のシンボル」と話す吉田宮司の宮司就任も、卯年(2011年)だった。手水舎には口から水を出すかわいらしいウサギの像があり、参拝者がこぞって写真撮影する人気のスポットとなっている。ウサギを目当てに参拝する人も多いことから、少しでも喜んでもらおうと先々代宮司の祖父がデザインし、御朱印などに用いていたウサギのロゴをあしらった御守などの授与品を増やすことにした。

同社は安産や学業成就など、何かに特化した御利益のある神社ではない。吉田宮司は「最大の御利益は、何事もなく暮らせること、悪い事が起きないことではないか。平穏であることを神様に祈りながら、自らも平穏でいられるように努力する。その結果こそが御利益といえるのではないか」と浦和の総鎮守としての持論を展開する。

ここ数年は安産祈願が急増しており、「戌の日」ともなれば平日でも数十件の申し込みがあるという。「ほとんどが地元の人。過ごしやすいまちとして子育て世代が増え、地域が元気になっている証拠なのでは」と、祈願内容から地域の現状を推し量っている。

(佐藤慎太郎)