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子どもの心育て40年 長期休暇に居場所づくり

山梨県笛吹市 日蓮宗常徳寺

2018年9月12日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者・宗教施設)

子どもたちは自分で食事の支度をすることで命の大切さを学ぶ
子どもたちは自分で食事の支度をすることで命の大切さを学ぶ

日蓮宗常徳寺(山梨県笛吹市)で仏子を育てる「育心塾」が40年以上続いている。毎年8月に1泊2日で行うほか、春夏冬の長期休暇には宿泊なしで食事作法を中心に学ぶ「ミニ育心塾」を開催。年齢の違う子どもたちが集まり、学び合う場となっている。

「もっと作る」。おむすびを初めて握った男の子の元気な声が響く。命の大切さを伝えるため、子どもに自分で昼食の用意をさせるのが育心塾のやり方だ。大人の握りこぶしよりも大きい丸むすびを作った男の子に、「そんなに食べられるの? 食べ物を無駄にしないように」。寺庭婦人の河野道子さんが優しくたしなめた。

育心塾は小林是綱・前住職が始めた。1421(応永28)年に真言宗から改宗した同寺は、身延山久遠寺第11世日朝、第65世日桂を輩出。江戸時代に始まった塾で四書五経を講じており、その流れを受け継ぐ。当初は参加者が数人だけということもあったが、口コミで評判が広がり、近年は毎回定員いっぱいになる。檀家でない地域の子どもの参加が多い。

2年前からは「こどものたまり場プロジェクト」を推進する笛吹市社会福祉協議会が協力。農協などからの食材提供や、市内の小学校へのチラシ配布など、運営を助けられている。

同協議会の雨宮早緒理さんは「共働きの家庭では夏休み中、一人で食事を取る子どももいるが、ここに来ればみんなとにぎやかに食べられる。こうした居場所をもっと増やしたい」と望む。寺では、子どもたちが自然と礼儀正しくなるともいう。

集まるのは小学1年生から中学生。年齢の違う子どもが一緒にゲームを楽しんだり、宿題の時間には上級生が下級生に教えたりする。泊まりがけの会では、30分間正座のまま唱題するのが目玉行事。春休みには花御堂で誕生仏に甘茶を掛けるなど、仏教行事も取り入れている。

近隣の住民はもちろん、大学生や高校生になったかつての子どもたちもスタッフとして参加する。またこの塾をきっかけに、寺の万灯講に加わる子どももいる。

河野豊永住職(46)は「終わればどっと疲れるが、やりがいがある。未来を担う子どもの育成に寺が関わり、それに地元の人たちが加わることで地域が育つ。それでこそお寺の存在意義が出てくる」と話している。

(有吉英治)