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伝統文化受け継ぐ拠点 催事多彩に、人呼び込む

福岡市中央区・浄土宗圓應寺 三木英信副住職

2018年9月19日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者・宗教施設)

ろうそくの明かりで行われる写経会。三木英信副住職が解説する
ろうそくの明かりで行われる写経会。三木英信副住職が解説する

寺子屋や香道、写経など、浄土宗圓應寺(福岡市中央区)の様々な取り組みが始まったのは2014年、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」が放映されたのが契機。黒田家の菩提寺として見学者が訪れるようになった。大学卒業後に長く教職を務め、ちょうど寺に戻った三木英信副住職(49)は「寺は供養など仏教の拠点であると同時に地域の伝統文化を受け継ぐ拠り所だ」と感じた。檀家以外の人にも来てもらってこそ意義があり、それも立派な教化だと、「まずは敷居を下げる」ために地域住民が参加しやすい年4回の催事を設けた。

春の「花まつり」は境内での花見とセット、夏には黒田官兵衛夫妻の遠忌に縁日、秋も夜の特別拝観に筑前琵琶演奏会を開く。市街地の中規模の寺に毎回200人前後が参集、本来は仏教行事としてきちんと法要も営むが、行政も後援する地域の名物に。「でももっと頻繁に寺に来てもらい、皆さんの笑顔と声が絶えない寺にしたい」と、以前から開いていた空手教室に加え、矢継ぎ早に毎月数回の催しを始めた。

書道や着付け教室などは、副住職の知人のネットワークを生かして講師を依頼しているが、自らも顔を出して仏教の話をする。そして「場所貸しではなく、寺としての場の力を感じてもらいたい」という副住職が直接的に仏教の味わいを伝えるため特に力を入れているのが「修行体験」だ。

中でも仏教版マインドフルネスの「浄土禅」は大人気。坐して瞑想するだけでなく、食事を取りながら、本堂をぐるぐる回って歩きながらひたすら自分を見つめる。「観無量寿経の読経に合わせて西方浄土をイメージし、自己をスキャンするように客観的に捉えるのです」と説く。

老若男女多くの参加者があり、「礼拝行」は念仏を唱えながら五体投地を108回、煩悩の数だけ一心に繰り返す難行だが、完遂し感極まって泣き出す人もいるという。修行体験の後には全員が車座になってシェアリング、茶を飲みながら感想を話し合う場を持つ。「いかがでしたか?」。副住職の問いに、参加者たちは改めて見つめた自分について言葉にして語ることで気付きを得る。

写経も香を焚き、日没後にろうそくの明かりで行うなど一味違う工夫が。「社会で気を張って生きておられる皆さんがここへ来て安らぎ、よみがえった気持ちになる。その喜びに接したら、僧侶としてもっと頑張ろうという気になります」。副住職はどの取り組みも自らの楽しみだと強調した。

(北村敏泰)