ニュース画像
仏教界における女性の役割やSDGsについて議論するパネリストら
主な連載 過去の連載
エンディングへの備え
時代を生きる 宗教を語る
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> キラリ ― 頑張る寺社・宗教者・宗教施設リスト> 保護司は慈悲行の実践 「良い町に」活動の原点

保護司は慈悲行の実践 「良い町に」活動の原点

長野県岡谷市 真言宗智山派平福寺 小林聖仁長老

2018年10月3日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者・宗教施設)

全国保護司連盟副理事長として政策提言にも関わる小林長老
全国保護司連盟副理事長として政策提言にも関わる小林長老

全国保護司連盟副理事長として、「再犯の防止等の推進に関する法律」(2016年施行)の立案に携わるなど、更生保護に努めている小林聖仁・真言宗智山派平福寺(長野県岡谷市)長老(74)。活動の根底にあるのは、「自分たちの住む町を少しでも良くしていきたい」との思いだ。

1979年、近隣の住民に勧められて保護司になった。もともと福島県出身で、26歳の時に後継ぎが早逝した平福寺に入寺。5年後に先代住職が亡くなり、住職に就任した。

小林長老は、地元住民の憩いの場にしたいと山内整備を始め、青少年育成のための夏休み寺子屋、さらに子育てを担う保護者を対象にした平福寺仏教婦人会など新しい事業を次々と立ち上げた。檀家や近隣住民も活動を理解し、応援してくれた。

そんな小林長老の姿を見て、保護司にならないかと声が掛かった。「保護司の活動はまさに慈悲行の実践であり、僧侶本来の活動なんじゃないかと思った」

少年院や刑務所から出た保護観察対象者と面談し、彼らの社会復帰を支援するようになった。

社会復帰できた人から町で声を掛けられたり、結婚式に呼ばれたりして立ち直ったことを実感できたときの喜びは大きい。しかし、中には保護観察の期間中に再犯する人もいる。「1、2年の間で心を通じ合わせることは非常に難しい。立ち直ると信じて接するだけに裏切られたショックは大きい」という。

活動する中で思い返すのは、同じように保護司で住職だった父親だ。戦後、戦災孤児を寺に集めて食事を振る舞った。

「貧困は犯罪につながる。父親がしていたことはまさに犯罪防止活動だった」と振り返る。

岡谷地区保護司会会長になってからは、長野県で初の更生保護サポートセンターや、協力雇用主会、少年少女の立ち直りを支援する青年団体のBBS会を設立。保護観察対象者と向き合うことから、組織運営、そして現在は国に対して政策提言に努めるなど活動の幅が広がっていったが、活動の原点は地域だ。

「保護司は地域に貢献しなければ、住民の理解は得られない。それは寺院活動と重なる。人と人が慈悲心を持って支え合い、心の豊かさを求めて生きる社会づくりこそ更生保護であり、仏教者の役目」と自分に言い聞かす。

(甲田貴之)