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住民集うカレーの日 世代超えた交流の場提供

北海道岩内町・浄土宗帰厚院 成田賢一住職

2018年10月31日付 中外日報(キラリ ― 頑張る寺社・宗教者・宗教施設)

会話を楽しみながら食事を取る地域住民。参加者の中には毎月欠かさず通っている人もいる
会話を楽しみながら食事を取る地域住民。参加者の中には毎月欠かさず通っている人もいる

浄土宗帰厚院では毎月第2月曜に、地域住民が集い交流を深めながら食事する「カレーの日」を催している。北海道岩内町は人口約1万2千人だが、その日には毎回150人以上が訪れる盛況ぶりだ。

活動のきっかけは、成田賢一住職(42)が檀家参りをしていた時に交わした一人暮らしの高齢者との会話だ。「配達されるお弁当を昼に半分食べ、残りを晩ご飯に食べて後は寝るだけの生活」と話す高齢者の姿に、成田住職は孤食のわびしさを感じて力になりたいと思い立った。

核家族化が進み、子どもたちはスマートフォンやゲームを使って一人で遊ぶ。人と人との交流が希薄になり、寺院も本来の機能を失いかけている時代だ。

しかし寺院には広いスペースや台所、たくさんの食器がそろっている。成田住職は、その環境を利用して人々が集まり交流する場を提供できないだろうかと思い「カレーの日」を考案した。成田住職によると「カレーの日」はただの食事会やボランティアではなく、全てに意味を持たせた活動にしているという。

訪れた高齢者は子どもたちに自分の孫の姿を重ね、大人としてアドバイスをすることで地域の中で自分が必要な存在だと再確認する。また子どもたちには親に感謝を伝え、協力して片付けを手伝うよう指導している。食べ物の大切さや思いやりについて学んでもらうためだ。親たちにとっては子育ての情報交換をする場になっている。

調理や準備を担っているのは檀信徒たちだ。中には昔から寺院に出入りしていた人もいる。成田住職は「寺に出入りしていた経験があり、台所のノウハウを知っている人は地元に少なからずいるはず。中には寺院側から声を掛けられるのを待ってくれている人もいるのではないか」と話す。準備が終わった後のだんらんも手伝いに来た人の楽しみの一つだという。

材料費はさい銭箱に入れられた浄財を活用している。北海道という地域柄、じゃがいもなどを近所の人が提供してくれることもある。

成田住職はもともと在家の出身で、結婚を機に僧侶としての道を歩み始めた。「一般家庭の人々からすると、寺院は敷居が高い場所だと感じてしまう。『カレーの日』のような取り組みはどの寺院でも簡単にできるはず。活動が広まり、人々が気軽にお寺へ出入りするようになってほしい」と展望を語った。

(奥岡沙英子)