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自責と偏見に立ち向かう 自死遺族に寄り添う宗教者たち(1/4ページ)

2014年4月16日付 中外日報(深層ワイド)

「決して忘れ得ぬその情は 我らに何を問うものなりや」。僧侶の表白に続いて自死者の名前が一人ずつ読み上げられると、押し殺してきた感情が解きほぐされるかのようにすすり泣く声が会場に広がっていく。「ここに来てやっと泣くことができました」。不安顔の遺族の表情に安堵が浮かんだ――。(池田圭、山縣淳)

「いのちに向き合う宗教者の会」主催の自死者追悼法要を訪れる遺族と出迎える僧侶(昨年12月4日)。近年、仏教界では自死者追悼法要の取り組みが広がっている
「いのちに向き合う宗教者の会」主催の自死者追悼法要を訪れる遺族と出迎える僧侶(昨年12月4日)。近年、仏教界では自死者追悼法要の取り組みが広がっている

自死問題に関する取り組みの一つに自死遺族支援がある。「なぜ死んだのか」という“答えのない問い”を抱える遺族といかに向き合うか。宗教界でも遺族を対象にした「分かち合いの会」や自死者追悼法要などが各地で展開されている。

昨年12月4日、東海地方を中心とした超宗派の僧侶でつくる「いのちに向き合う宗教者の会」が名古屋市中区の真宗大谷派名古屋別院で自死者追悼法要を営んだ。

同会は根本紹徹・臨済宗妙心寺派大禅寺住職(42)=岐阜県関市=を代表に2009年に発足。自死遺族の分かち合いの場である茶話会「いっぷく処」(年5回)の他、毎年12月に追悼法要を執り行っている。

第5回となる昨年の法要には全国から各派の僧侶43人が出仕し、遺族35人が参列。法要後に茶話会も開き、遺族の思いに耳を傾けた。

この他に参列者に亡き人へのメッセージをつづってもらい、尊前に供え、茶話会の後に真言宗僧侶が特別に設置した護摩壇でそれらを焚き上げた。燃え上がる浄火を見つめながら思いをはせる参列者たち。「最後は護摩壇の方を振り返り、振り返りしながら、また日常に帰っていくのです」と根本住職は言う。

同住職によると、参列者は最初、不安な顔で会場を訪れるが、最後は表情を改めて家路に就く人が多い。常連の遺族からは「この法要に参列しないと年を越せない」との声もある。

「茶話会だけでなく、読経やお焚き上げといった儀礼も宗教者ならではのグリーフケアになっている」と説明し、「当日欠席した人から『行けないけど、家で祈ります』という連絡が寄せられたこともある」と語った。「追悼法要の存在自体が、それを知る遺族らのよりどころになっている面もある」のだ。

内閣府が公表した13年の自死者数は前年比575人減の2万7283人で、2年連続で3万人を下回った。良い傾向ではあるが、依然として高い水準であることに加え、それに数倍、数十倍する遺族の存在を忘れてはならない。

自死に対する偏見から悲しみを打ち明けられない人もいれば、「なぜ止められなかったのか」と自責の念に苦しむ人もいる。あまりの悲しみや苦しみから、後追いの自死を念慮する人も多い。自死への理解や遺族の悲嘆に寄り添う場が求められている。