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宗教界はどう受け止めるのか 原発ゼロ社会への道

― 市民がつくる脱原子力政策大綱(1/6ページ)
2014年6月4日付 中外日報(深層ワイド)

原子力発電からの脱却を訴える科学者・研究者や弁護士、市民らでつくる「原子力市民委員会」(座長=舩橋晴俊・法政大教授)が、原発のない社会に向けて実現可能な具体的方策をまとめた「原発ゼロ社会への道――市民がつくる脱原子力政策大綱」を発表した。関西電力大飯原発の再稼働に反対する住民らの訴訟で福井地裁は5月21日、安全性に疑義を指摘し運転差し止めを命じる判決を出した。福島第1原発事故を受け、さまざまな意見を発表してきた宗教界は、今後のわが国の在り方、人々の生き方に深く関わるこの問題をどう受け止めるのか。(原子力問題取材班)

原子力市民委員会がまとめた「原発ゼロ社会への道」
原子力市民委員会がまとめた「原発ゼロ社会への道」

同委員会は、「既に破綻している原子力政策を政府が推し進めるなら、市民は市民の手で多数の民意に立脚した脱原子力政策をつくり、実現してゆく」との趣旨で、「子どもたちや将来世代に原発のない豊かで持続可能な社会を手渡す」ことを目的に、関係するあらゆる分野の専門家、市民の英知を結集するため、計33人の委員やアドバイザーで昨年結成された。全国で計16回、延べ千人による意見交換会を開き、大綱を作成した。

科学データを駆使し、原発と核燃料サイクルを廃止、電力会社の再稼働に向けた対策の中止、原発輸出政策中止などを提示。「被曝を避ける権利」を基本的人権として尊重することをうたい、具体的には、先に安倍政権が原発推進を明示した基本計画を廃し、「脱原子力基本法」や再生可能エネルギー拡充を促進する「エネルギー転換基本法」制定を提案した。

委員会には宗教学者で原発問題に発言を続けてきた島薗進・上智大教授も参画し、福島原発事故部会長を担当。宗教者災害支援連絡会で活動してきた中で多くの宗教者たちからこの問題についてもさまざまな意見を聞き取っており、それは委員会の審議に反映された。

一方、福井地裁の判決は原発の危険性を厳しく批判、経済的利益よりも生存権を含む国民の「人格権」を最大限重視し、コスト論を退けることで大飯原発差し止めだけでなく、わが国の原発総体の問題点を指弾した。(関電側は控訴)

全日本仏教会が2011年12月に脱原発社会に向けた声明を発表、それは「大綱」や判決の「原発は倫理に反する」との考え方にも通じるが、その後は教団レベルでも目立った動きはない。他方で福島をはじめ各地の原発立地地方では、信仰と良心に基づいて草の根の取り組みや反対運動を続ける宗教者たちがいる。

島薗教授に「大綱」の意義を論じてもらい(「論」に掲載)、福島県で事故による避難を強いられた「東電原発事故被災寺院復興対策の会」などの地元僧侶たち、福井県で長く運動をリードし、今回の訴訟原告団代表でもある住職ら「原子力行政を問い直す宗教者の会」の人たちにそれぞれの現場からの報告を寄せてもらった。