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他人の卵子求めて海外へ 生殖補助技術が問いかけるもの(1/5ページ)

2014年7月2日付 中外日報(深層ワイド)

1978年、イギリスで生まれた初の体外受精児は世界に衝撃を与えた。その後、卵子を体外で操作できる技術は飛躍的に進み、他人の卵子で受精卵を得る卵子提供や体外受精後に他人に出産を委ねる代理出産など、第三者の関わる生殖補助医療が急速に進展。倫理的・社会的な問題が指摘されながら世界の医療現場に浸透しつつあり、日本でも不妊治療の一環として卵子提供のニーズが近年急増している。「いのち」に関わる技術をめぐり今、何が問われているのか。(飯川道弘)

卵巣形成不全など自らの卵子では妊娠できない場合や、高齢による「卵子の老化」などで不妊治療が成功しない場合、第三者から卵子の提供を受けて妊娠・出産を目指す卵子提供を治療の選択肢として利用するカップルが増えている。

日本ではこれをはじめ生殖補助医療についての法規制はなく、医療現場は日本産科婦人科学会などが作るガイドラインに基づき対応してきた。卵子提供について学会は法制度が整うまで実施を見合わせることにしており、一部の施設を除き原則行われていない。

卵子提供は社会の晩婚化、晩産化に伴い年々増加しており、法制度のない日本での治療を諦め、卵子を求めて海外へ渡るケースが多数あることが報告されている。最も多い渡航国とみられるアメリカ・サンフランシスコの卵子提供仲介業者は19年間に千組超の日本人夫婦をサポートしたといい、1回の費用は約550万円としている。

こうした中、生殖補助医療の法制化に向けて、政府・自民党のプロジェクトチーム(座長=古川俊治・参議院議員)が4月、法案の素案をまとめた。それを基に議論を重ね、秋の臨時国会での法案提出を目指す。

素案は代理出産を限定的に認める案と認めない案の2案。いずれの案も第三者の精子・卵子提供を条件付きで認めた。親子関係は出産した女性を母とし、精子・卵子の売買を禁じている。

子が自分の遺伝上の親を知りたいと希望した場合に情報を開示する「子の出自を知る権利」は、精子・卵子提供を認める場合の大きな争点の一つだが、素案には盛り込まれなかった。

法制化を進める理由について古川氏は、3月20日の民法ラジオ番組で①日本に制度がないため海外で卵子提供を受ける事例が増えてきたこと②晩婚化で自分の卵子では妊娠の困難な高齢女性の不妊治療が増えていること③現行民法は精子・卵子提供や代理出産を想定しておらず生殖補助医療に伴う親子関係のルールを明確化する必要があること――の3点を列挙。

子の出自を知る権利については「非常に難しい問題で短期間に結論を出すのは困難。引き続き検討していく」と述べた。

素案の公表を受けて学会は検討を進めている。不妊に悩む患者の心を宗教者としてどのようにケアし、例えば檀家や信徒にも、子どもを授かることの意味を教団としてどう説いていくのか。宗教界の対応が急がれる。