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平和祈るだけでよいのか 終戦70回忌宗教者の活動を追う(1/4ページ)

2014年7月30日付 中外日報(深層ワイド)

終戦から69周年、仏教では「70回忌」の夏を迎えた。今年も各地で戦没者を慰霊する行事が営まれ、平和の祈りがささげられている。「宗教者は祈るだけでいいのか」「平和のためにもっと具体的な行動を」「祈り続けることこそが大切」など宗教者の平和への取り組みについてはさまざまな意見や考え方がある。

戦争体験の次世代への継承が喫緊の課題となる中、宗教者は語り伝える役目も担っている。また、砲弾の飛び交う海外の紛争地帯に乗り込んで命懸けの和平工作に取り組む人もいる。(河合清治)

「ミャンマーの坂本龍馬」。こう評される一人の日本人僧侶がいる。内戦の続くミャンマーの少数民族武装勢力の中に単身で乗り込み、複数の勢力を一つに束ね、政府との和平、内戦終結に命を懸ける四恩山報恩寺(単立/福岡県朝倉市)の井本勝幸・副住職(49)だ。

ミャンマーは135もの民族が住む多民族国家。軍事政権によるビルマ族中心の国家統一の動きに、危機感を抱いた少数民族は武装して民族の尊厳を守るために戦ってきた。2010年の民政移管で表向きには民主化が進むミャンマーだが、少数民族の置かれる状況に変わりはなかった。

井本さんはかつて日本国際ボランティアセンター(JVC)でタイ・カンボジア国境の難民支援に携わり、「アジアの難民や弱者救済には国家の枠を超えた仏教徒の連携と協力が不可欠」と実感した。その後、日蓮宗僧侶だった叔父を頼り28歳で出家。池上本門寺での随身修行を経て、アジア仏教徒の国際ネットワーク「四方僧伽」を設立し、アジアの弱者を支援する草の根の活動に取り組んできた。

その活動の中で井本さんはミャンマーの内戦で過酷な難民生活を送る少数民族に強く心を痛め、11年1月、ミャンマーと国境を接するタイ北部から、政府軍と抗戦する少数民族武装勢力の中に単身飛び込んだのだ。

井本さんは、主な15の武装勢力を説得して回り、そのうち11の勢力をまとめてUNFC(統一民族連邦評議会)を組織。政府との交渉にも参加し、60年間これまでに一度も実現したことがなかった全土停戦の実現直前にまでこぎ着けた。

宗教者の取り組みはさまざまだ。紙芝居で平和を世界に発信する日蓮宗妙蔵寺の佐治妙心住職(27)=静岡県伊豆市、映画で平和を訴える浄土真宗本願寺派の僧籍を持つ映像作家の青原さとし監督(53)=法名・慧水/広島市=など、手法は違うが平和のための熱い祈りを行動に移し、実践している。