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コミュニティーの核として 宗教心を育む「鎮守の森」(1/4ページ)

2014年10月1日付 中外日報(深層ワイド)

「鎮守の森」にこそ神様が宿ると話す神職は少なくない。仏教にも「草木国土悉皆成仏」という教えがある。日本の社寺はアニミズム的な日本の宗教観を背景に森林に神仏の居場所を求めてきた。多くの社寺が鬱蒼とした森林に抱かれるように建立され、人々に祈りの場、癒やしの場を提供し、日本人の宗教心を育んできた。高度経済成長期には開発の名のもとに森林が切り開かれ、環境問題を引き起こした。しかし、経済原理優先の社会の在り方が見直されつつある中、東日本大震災の被災からの復興を願って被災神社で植樹祭が始まるなど、社寺の森林が果たす役割を見直す動きが広がりつつある。(武田智彦)

存在感のある巨大な古樹には神聖性を感じる人も多い(兵庫県淡路市・伊弉諾神宮)

大阪のベッドタウンである大阪府北部でも、上新田天神社(豊中市)や垂水神社(吹田市)の鎮守の森が住宅建設計画の対象となった。工事に必要な周辺用地の利用を拒み続けた結果、垂水神社の鎮守の森は奇跡的に守られたが、上新田天神社が鎮座する丘陵を覆っていた社叢は切り開かれ、高層マンションがそびえている。

一方で社寺林の持つ役割を、生態学、植生学、社会学、宗教学、防災などといった宗教界の周縁部から見直す動きも生まれている。特に東日本大震災の被災地の復興には地域のシンボルである鎮守の森の復興が欠かせないとして、宮脇昭・国際生態学センター長や日本財団などが取り組んでいる植樹祭は今年に入って本格化している。

森は単なる樹木の集団ではなく、落ち葉が虫や微生物などによって分解され再び木々が育つための養分になるなどのメカニズムを持った一つの共生のシステムである。さまざまな関わり合いが繰り広げられる森は、いわば縁起の世界である。こうした考えで京都市左京区の浄土宗系単立の法然院は、子どもたちや愛好家に境内を開放して「森の教室」を開いている。