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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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聖地にスポット 観光資源化 宗教ツーリズムの現況(1/5ページ)

2014年10月29日付 中外日報(深層ワイド)

昨年、20年に1度の式年遷宮を迎えた伊勢神宮には、1年間で1400万人以上の参詣者があった。「お蔭年」に当たる今年もすでに800万人を超えた。江戸時代から伊勢参りには物見遊山の要素が強く、観光と信仰は切っても切れない関係にある。近年ではパワースポットブームなどもあり、本来信仰の場所である神社や寺院などの聖地を、多くの人が訪れるようになっている。宗教が観光資源化する「宗教ツーリズム」とも呼ばれるこの現象には、「聖性の確保は可能か」という問題とともに、今後の寺社の在り方をも占うような現代的な課題も含まれている。(佐藤慎太郎)

遷御の儀の翌日、人々は五十鈴川を渡り伊勢神宮内宮の新殿に向かう(2013年10月3日)

「ありがとうございます。次は建長寺にも行ってみます」。鎌倉五山の第二位に数えられる臨済宗円覚寺派大本山円覚寺(神奈川県鎌倉市)。和綴じの御朱印帳を受け取った2人の女性は、御朱印所に近い山門の写真を撮っただけで本堂にはお参りせず、次のお寺へと向かっていった。

一年を通じ平日も観光客でにぎわう鎌倉の中でも、JR北鎌倉駅前に位置する円覚寺は多くの人が訪れる寺だ。休日の御朱印所では申込者が多く、30分以上待つこともある。出来上がった御朱印帳が受付の前にずらりと並ぶ。

印を押す職員は帳面を前にすると真剣な目つきに変わり、緩急をつけた鮮やかな筆さばきに思わず見とれる人も多い。「寶冠釋迦如来 大本山円覚寺」と墨書すると鮮やかな朱で印章を三つ続けて押し、色が移らないよう薄い半紙を挟む。

最近では「御朱印ガール」と自称する人もおり、御朱印集めがあらためて注目を集めている。まるで観光地でスタンプラリーをしているかのように、全国各地の神社仏閣の御朱印をコレクションし、その御利益に対する一喜一憂が、フェイスブックやツイッターで報告される。

そもそもスタンプラリーは、霊場巡拝や七福神巡りの御朱印をモデルにして成立したともいわれる。信仰心からではない、名所旧跡観光の流れの中にある現代の寺社の姿に、むしろ大きな「資源」を見いだすことができると、さまざまな動きが起こっている。