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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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帰宅困難者の受け入れ急務 宗教施設の災害対応(1/4ページ)

2014年11月12日付 中外日報(深層ワイド)

東日本大震災で震度5強の揺れに見舞われた東京都では、停電などで交通機関がまひした。首都圏だけでも515万人の帰宅困難者が発生し、中央区の浄土真宗本願寺派築地本願寺をはじめ種々の宗教施設が門戸を開いて受け入れた。震災以降、全国の自治体で地域防災計画の見直しが進められ、特に都市部では帰宅困難者対策が急務となった。30年以内に70%の確率で南海トラフ巨大地震が発生するともいわれる中で、避難所提供などいち早く対応した宗教施設の活用が注目されている。宗教界は地域や自治体とどのように協力・連携し災害に即応するのか。(杲恵順)

總持寺と横浜市の協定締結式では、乙川暎元監院と立花正人・危機管理監が協定書に押印し握手した。自治体と宗教施設の災害協力の動きは、全国で進む

横浜市鶴見区の曹洞宗大本山總持寺と学校法人総持学園は先月、災害で鉄道が一晩中全線運行停止となった場合に山内を開放し、帰宅困難者にトイレや水道水などを提供する協定を市と結んだ。

横浜市では先の震災で約3万人の帰宅困難者が発生。總持寺から徒歩7分の場所にあるJR京浜東北線の鶴見駅は、1日に約9万人が利用しており、震災当日も多くの人が集まった。同寺は帰れなくなった約250人を受け入れ、水や食糧などを提供した。

協定で受け入れを想定しているのは、主に大祖堂地下瑞応殿と鶴見大体育館で、約2730人を収容できる。同区内で現在確保できている収容人数の9割に当たる。今後、市が準備した必要物資を体育館の収蔵庫で管理していくという。

乙川暎元・總持寺監院は「教えの先人は、常日ごろから被災地に心を寄せ、社会の役に立てるような姿勢をお示しくださっている。協定はそれに沿うもので、市民の安全につながるならと喜んで引き受けた。今後もますます愛される施設になるよう努めたい」と話す。

大阪大大学院の稲場圭信・准教授(宗教社会学)の調査によると、少なくとも全国399の宗教施設が95の自治体と總持寺のような災害協定を結んでいる。うち167の施設が震災以降に結んでおり、同准教授は「今後もさらに増える」とみている。