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ムスリム訪日は増える一方 イスラーム理解は進むのか(1/4ページ)

2014年11月26日付 中外日報(深層ワイド)

世界のイスラーム人口は16億人といわれ、全体の約5分の1を占める。2020年に東京オリンピックが開催される日本は多くの外国人を迎えることになる。近年、駅や空港、商業施設でイスラーム教徒(ムスリム)用の礼拝所が続々と設置され、食事などイスラーム法で定められたもの(ハラール)を提供する店が増えている。企業や行政の対応は進みつつあるが、日本に長年暮らすムスリムからは信仰への理解が進むのかとの不安の声も聞かれ、宗教者をはじめ一般の人々にイスラームの認識を深めることが求められている。(甲田貴之)

にぎわう駅ビルの中、3人のムスリムが静かに祈りをささげる

「アッラーフ アクバル(神は偉大なり)」――。買い物客でにぎわう大阪駅ビル・大阪ステーションシティの一角の礼拝所で、マレーシアから来た3人の若い男性がじゅうたんの上で額、鼻、両手、両膝、両足の指を床につけ、跪拝する。イスラームで1日5回行われる礼拝(サラート)だ。頭や指は全て聖地マッカ(メッカ)の方向を向いている。アッラーをたたえる言葉を唱え静かに祈りをささげた。

3人は観光の途中、日課のサラートのために訪れた。27歳の男性は「インターネットで知った。快適で使いやすかった。(礼拝所が)増えると旅行にも行きやすくなるので、他の駅にも設置してほしい」と話す。

礼拝所は訪日外国人向けに今年10月22日、1階の「南ゲート広場」に設置された。広さは全体で30平方メートル。礼拝を男女別々に行うための別室も用意されている。身体を清めるための「小浄施設」、天井には方位標識、マッカの方向に合わせてじゅうたんが敷いてある。

運営する大阪ターミナルビル㈱の岩瀬正和・営業部サービス推進グループ課長(46)は「駅の広場で礼拝する外国人を見たこともある」と言う。駅の利便性を高めてムスリムをはじめ、さまざまな信仰を持つ外国人が利用しやすい公共施設を目指している。

近年、ASEAN(東南アジア諸国連合)からの来日者数が急増しており、昨年は100万人を超えた。インドネシアやマレーシアなど同諸国にはムスリムが多い。

そうした国々の観光客受け入れに行政や企業が積極的に取り組む一方、実際に日本人がムスリムと出会うことはまれだ。「イスラム国」や「ボコ・ハラム」などテロと結び付いたニュースがイスラームに接する数少ない機会になっている。訪日ムスリムの増加は「日本で隣人としてムスリムを受け入れられるのか」と問題を提起している。