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何が民衆を引きつけるのか

高野山と善光寺 信仰の2大聖地(1/4ページ)
2015年5月27日付 中外日報(深層ワイド)

高野山開創1200年記念大法会が21日、結願した。50日間の参拝者は約60万人と、当初予想された30万人の2倍に達し、伽藍、奥之院など総本山金剛峯寺(和歌山県高野町)境内は人々の祈りで満たされた。一方、長野市の善光寺では「7年に1度」(6年間隔)の前立本尊御開帳が31日まで行われ、57日間で700万人を超える参拝者が見込まれている。寺離れや信仰心の希薄化が進む中、高野山と善光寺という大衆信仰の「2大聖地」は、なぜ民衆の心を引きつけるのか。(飯川道弘、河合清治)

回向柱に人波善光寺御開帳に700万人超

善光寺の回向柱に押し寄せる参拝者。ピーク時は2時間待ちも

「高野山は私の心の古里。世界で一番素晴らしい所よ」。カナダ・トロントから来たクリスティーナ・オクスマンさん(64)は両手を広げながら力を込めて語った。「自然が美しく空気がきれい。夜はよく眠れます」。大阪で英語教師をしている娘を頼って、毎年この時期に訪れるという。

弘法大師空海が開いた真言密教の聖地・高野山は2004年の世界遺産登録などを背景にここ10年来、外国人旅行者が急増している。ところが大法会期間中は「外国人をあまり見なかった」(本山職員)。日本人の数が普段の何倍にも増えたからだ。

50年前の開創1150年大法会の参拝者は約47万人。近年の登嶺者の動向や他宗派の遠忌法要などでの数を踏まえ、今回は約30万人と見積もったが、その2倍もの人たちが参拝した。

善光寺事務局の清水雄介・庶務部長は「参拝者は回を重ねるごとに増えていますね」と言う。「『善光寺さん』と呼ばれて親しまれ、古くから庶民の間に善光寺如来への信仰が染みついており、(654年に秘仏となって以来、開扉されない)絶対秘仏という神秘性も人々の心を引きつけている理由だと思う」と指摘する。3月に北陸新幹線が開業したこともあり、参拝者は前回の御開帳よりも約8%の増加を見込んでいる。

高野山真言宗の添田隆昭・宗務総長は、50年ごとに営まれる大法会を「お大師さまから課される定期試験のようなもの。お大師さまの教えや信仰を人々に伝えるという務めを我々が果たしているのか。その点数の一つは参詣者の数に表れる」と語る。

「一度参詣高野山、無始罪障道中滅」「遠くとも一度は参れ善光寺、救い給うぞ弥陀の誓願」

こうした言葉や歌に象徴されるように高野山と善光寺は古来、時代や宗派を超えて大衆、庶民の信仰を集めてきた。しかし時代の荒波の中で参拝者のニーズに変化の兆しも見える。