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何が民衆を引きつけるのか

高野山と善光寺 信仰の2大聖地(2/4ページ)
2015年5月27日付 中外日報(深層ワイド)

期間限定イベントの魅力、参拝に変化も

宗派を問わず信仰を集めてきた善光寺。夜間ライトアップなど新たな試みで、さらなる参拝者の増加を見込む。高野山には、これまでの大師信者に加え、聖地の魅力に引かれた外国人や若者らの姿も増えてきた。

善光寺宗派超え信仰集め 地元が一体で盛り上げ

回向柱御守りを手にする善光寺の参拝者。「家の仏壇に祀ります」

絶対秘仏の一光三尊阿弥陀如来(善光寺如来)が安置される檜皮葺き2層屋根の巨大な本堂。その正面に立つ高さ10メートル、45センチ角の回向柱に押し寄せる人々。参拝者の長蛇の列は南に長く延び、ピーク時には柱に触れるまで約2時間を要した。

回向柱には本堂内で御開帳されている前立本尊から延びた「善の綱」が結ばれ、参拝者は柱に触って本尊と結縁し、御利益を得る。

9日の浄土宗一山の中日庭儀大法要に愛知県一宮市から来た64歳の女性は「私は真宗大谷派の門徒だが、善光寺参拝で宗派を気にしたことはない」と話した。弥陀一仏信仰の浄土真宗の門徒は他宗派の本山に参拝することはほとんどないが、念仏停止の法難で越後に流罪となった親鸞聖人は善光寺に参拝。一光三尊阿弥陀如来を信仰し、境内や門前にはその足跡が残る。

「今朝、息子夫婦に連れてきてもらった。回向柱をさすって家族の健康を願うことができ、とても幸せ」という長野県北部・木島平村から訪れた84歳の女性の手には、授与品所で求めた「回向柱御守り」があった。

高野山の大法会をはじめ各地の御開帳で立ち、参拝者が本尊と結縁する回向柱は、善光寺の御開帳が最初とされる。回向柱に触れて功徳を得ようと多くの人が集まり、その混雑が参拝心理をあおる面もあるようだ。

参拝者が700万人にも上る理由について、善光寺事務局の広報担当者は「一つは善光寺如来への絶大なる信仰。もう一つは、数え年で7年に1度という限られた年の2カ月間というイベントであること。さらには地元に御開帳奉賛会が立ち上げられ、善光寺だけでなく県や市、企業等が一体となって盛り上げていく体制が整っていること」という。市は今回の御開帳で門前町の道路を舗装した。観光協会などのPRも行き届いている。

特に今回は期間中、午後9時まで境内をライトアップした。前回までは午後5時に本堂内陣を閉じると人は来なかったが、今回は夜遅くまで参拝者でにぎわう。スマートフォンの普及を踏まえ、回向柱の列の混雑状況や本堂・前立本尊拝観の待ち時間をインターネットで発信したことも、参拝者の出足を良くしたようだ。

北陸新幹線の開通と重なり、「パワースポット」や御朱印、グルメなどのブームで、情報誌などが御開帳を多く取り上げた。こうした情報が若者を中心にさらにネットで広がったとみられ、回向柱の列には若い人の姿や家族連れが多く見られる。

情報技術の進歩が、伝統的な仏教儀式の御開帳への参拝者数を押し上げた。一方で不真面目な参拝者も増え、庭儀法要の行道の列に小型無人機ドローンが落下するなど新たな問題も浮き彫りになった。