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遺族高齢化で「記憶」風化 海外での慰霊法要・遺骨収集ピンチ(1/5ページ)

2015年7月22日付 中外日報(深層ワイド)

戦後70年、元日本兵の「戦友会」や戦没者遺族の全国組織「日本遺族会」の高齢化が進み、海外での慰霊法要が減少している。各国にいまだに残されている旧日本兵の遺骨情報を知る現地の人も少なくなりつつある。一方で、慰霊法要が日本人だけでなく地元の人たちにとっても記憶をとどめる特別な行事となっており、「戦争を知らない」世代ながら遺骨収集に努める青年僧もいる。風化を食い止め、継承する。慰霊行を通して、宗教者は次世代に何を伝え、いかに活動を継承していくべきなのか。(赤坂史人・杲恵順)

サイパン島に立つ民間慰霊碑。倒れた卒塔婆や、枯れた花が放置されている

米国自治領の北マリアナ連邦・サイパン島。多くの日本人が身を投げ自決したスーサイドクリフの真下にある日本政府建立の「中部太平洋戦没者慰霊碑」の裏手には、ひっそりと約45基の民間慰霊碑が安置されている。多くは法要が盛んだった1990年代に建てられたとみられるが、今ではナイロン袋などのごみが散乱し、卒塔婆が乱雑に積み上がっている。

毎年、現地で慰霊法要を執り行う念法眞教教団(大阪市鶴見区)の清掃活動に参加した現地住民は「日本人の観光客が減り、慰霊碑を管理する親日の現地人も少なくなってきた。サイパンでも風化が進んでいる」と話し、日本人が持ち込んだお守りが土にまみれてぼろぼろになっている様子に「ごみになってしまうのでしょうか」と困った顔を見せた。

念法眞教は5月、サイパン島のラストコマンドポストで、第9回「戦没殉難者慰霊法要」を営んだ。両国の関係者約120人が参列し、戦没者の鎮魂と冥福を祈った。桶屋良祐教務総長(66)は「先祖に感謝することが慰霊。感謝や慰霊は、自分の都合で気ままにするものではない」と力を込め、今後も続けていくことを誓う。

風化が進むサイパンで続けられる法要。現地の日本人ガイドは「サイパンの人たちにとって、僧侶が読経する姿はとても神秘的。戦争の悲惨さは言葉や資料で説明しても伝わらないことがあるが、法要に参加し、日本人の死者を弔う気持ちに触れることで伝わる。今後も『祈り』を通して、戦争の悲惨さや平和への誓いを継承していってほしい」と話す。

こうした現地での慰霊法要は、戦争記憶の風化をとどめる側面が期待されるとともに、両国の信頼関係構築にもつながっている。