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世襲の意義を改めて問う 浄土真宗各派の“門主制度”(1/6ページ)

2015年8月26日付 中外日報(深層ワイド)

一昨年から今年にかけて浄土真宗本願寺派、真宗高田派、出雲路派で門主・法主の代替わりがあり、大谷派では昨春に18年間不在だった「門首後継者」が選定された。真宗各派の法灯は門主・法主家の長男子への継承を基本とする血脈相続によって受け継がれてきたが、そのような習慣をあまり重視しない現代社会で“門主制”の求心力の低下を指摘する声も聞かれる。真宗教団独自の伝統の意義を改めて問うた。(萩原典吉、池田圭、杲恵順)

真宗十派の略系譜(真宗教団連合の発行資料をもとに作成)

本願寺派本山本願寺で昨年6月6日に営まれた大谷光淳・第25代門主=当時(36)=の法統継承式。参列した僧俗約8千人から若き新門主の就任を喜ぶ念仏が湧き起こった。門主の代替わりは1977年に就任した光真前門以来、37年ぶりの慶事だ。参列者からは「宗門を統一し、宗務を統理する」、新門主の指導力を期待する声が多く聞かれた。

その一方、「私は前門様と共に歩んできた世代。自分の時代が終わり、次世代が宗門を担っていく時が来たのだと感じる」などと語る高齢の住職らも少なくなかった。

真宗以外では管長など教団の最高指導者は選挙や推戴制度などを通して選ばれる。経験豊かな高齢の僧侶が選出されることがほとんどで、任期が定められていることも多い。その意味で、門主の歩みと自らの境涯を重ね合わせる感覚は、住職も基本的に世襲制の真宗教団ならではの独自のものだといえる。

本願寺教団における血脈相続は、同寺の実質的な創始者である第3代・覚如上人が、宗祖親鸞聖人と、聖人の孫・如信上人を経て自分へと続く血脈による法門の継承を主張したことに始まり、その後、他の真宗教団でも親子相続が取り入れられたと考えられている。

木辺派の木邊円慈門主(75)は「人々と同じように家庭を持ち、同じ生活をする寺院主がいることで、人々が宗教に近づきやすかった」と世襲制を取り入れた中世以降の真宗教団の広がりについて説明。

また「当時は法的に保証されていなかった権利関係や財産の保全の面でも、家族による(聖典や寺宝類の)相続が一番安全で確かな方法だった」とも指摘する。

そうした歴史的経緯の中で育まれてきた血脈相続の伝統を通して、教団の発展とともに門主の宗教的権威や権限は高められていくが、戦後、民主主義的な価値観が定着するに従って、門主への崇敬や親しみが薄れてきたと危惧する人も多い。

真宗史に詳しいある研究者は、そうした傾向について、戦前の家父長的な価値観の見直しや、戦中の国家権力の暴走への反省に基づく「権力への敏感さ」とも関係していると指摘する。その上で言う。「ただ、その流れの中で必要以上に切り捨ててしまったものもあるのではないか」