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独居老人の最期を見守る 宗教者に問いかける孤立死(1/5ページ)

2015年9月30日付 中外日報(深層ワイド)

一人暮らしの人が自宅で亡くなり、死後数日がたってから発見される孤立死が増え続けている。その中には寺の檀家がいるかもしれない。孤立死をしてしまった人に向き合い、不安を感じている人の声を聞き、寄り添おうとする僧侶もいる。(甲田貴之)

吉水裕光住職の導師で営まれた「あさくさ山谷光潤観音」の開眼法要

東京都台東区の浄土宗光照院は住職、寺族、檀家全員を対象にした永代供養墓「観音供養塔」を建立した。一人暮らしで葬儀や墓を任せる人がいないと悩む檀家のために、「お寺に関わっている人はみんな家族」の思いで、寺がある限り供養していくつもりだ。9月には安置する本尊「あさくさ山谷光潤観音」が完成し、開眼法要が営まれた。

供養塔建立の一つのきっかけとなったのは、ある檀家の男性(78)の孤立死だった。男性は昨年8月、一緒に暮らしていた兄を亡くした。9月には法事を営んだが、その前日深夜に「おはようございます」とお寺を訪れるなど言動に不審な点が見られた。

心配した吉水岳彦副住職(36)が地域包括センターに連絡し、見守りを依頼したが1カ月後、男性の訃報が届いた。ショックだったのは、発見時には死亡してからすでに10日以上たっていたことだった。他に身内はおらず、行政の手で火葬されることになったが、火葬場の関係で実際に荼毘に付されたのは、さらに2カ月後の12月14日だった。

吉水副住職は当日早朝に遺体安置所で読経した。遺体は腐敗が進み、黒い袋に入った状態で棺に納められ、その顔を見ることはかなわなかった。

自宅で誰にも看取られずに亡くなった場合、警察が対応し、身元確認などを行う。葬儀、納骨してくれる人を探すために親族に連絡が入るが、その際に菩提寺にも連絡が入るとは限らない。

供養塔の趣旨に賛同し、契約してくれた檀家には「亡くなったら、連絡してください」と記したカードを配布し、個人の希望に沿って葬儀を光照院で営む。

吉水副住職は「本人が望む、望まないにかかわらず、一生懸命に生きた人たちが消えるように亡くなり、業務的に死後処理がされるのは寂しい」とつぶやく。