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お墓もレンタルする時代 寺院は多様なニーズに対応(1/4ページ)

2015年10月14日付 中外日報(深層ワイド)

レンタル墓・新契約型墓地・現代的両墓制

しきたりにとらわれない墓の形式が広がりつつある。使用期間を区切り一代に限って使用する墓や、遺骨埋葬地とは違う場所にある参拝するための墓などだ。家意識が薄れ家族の形が変わるなどの社会変化を背景に、従来の墓制度ではくみ取り切れない現代人の墓に対するニーズに対応しようとしている。(有吉英治)

一般の家墓の一画に設けられたレンタル墓のスペース(手前)=埼玉県東松山市の西照寺

土地と墓石を一定期間貸し出す「レンタル墓」。埼玉県東松山市の浄土真宗本願寺派西照寺が提案し、注目を集めている。1区画0・8平方メートルで、墓石の下には骨壺を二つ納められる。利用期間は10年で、管理料などを含め総額48万円。契約満了後は合葬墓に移したり、そのまま延長することも可能。一般の墓地のように墓石の代金が要らないため利用者の経済的負担は軽くなる。レンタルとはいえ祈りの場であるため、借りる人がかわったら墓石は新しいものにする。

「お墓を建てたいが、継ぐ人がいない」「転勤があるので墓参りに来られなくなる」。こんな相談が以前からよく寄せられていた。家単位で受け継いでいく家墓か、合葬式の永代供養墓・納骨堂が一般的だが、これでは選択肢が限られ、困っている人がいるなら新たな制度をつくろうと、3年ほど前からレンタル墓を始めた。名称が批判を招くことも覚悟したが、好意的な反応が多い。

母親の墓を建てた60代の女性は2人姉妹の長女。2人とも嫁ぎ先の墓があるので、父は合葬墓に入れた。しかし「個別のお墓に」との思いは強く、その後に亡くなった母にはレンタル墓を選んだ。「お参りに行ける年齢を考えれば(10年は)ちょうどいい期間」という。

楽天リサーチが2014年に行った調査(次ページにグラフ)によると、墓を選ぶ際の優先順位は、「自宅からの近さ」「価格の安さ」「親族の家からの近さ」が上位を占めた。望む埋葬方法は「先祖代々の墓」が29・5%で最多。金銭面と無縁化の心配から合葬式の永代供養墓が脚光を浴びつつあるが、家ごとに墓石がある従来型の墓を持ちたいとの本音がうかがえる。

網代豊和・副住職は「墓石の前で涙されている方がよくいる。そんな姿をたびたび見てきた身としては、これまで通り墓石を置く形のお墓を大事にしたい。レンタルでもよいので一人でも多くの方にお墓を持ってほしい」と願う。葬儀の簡素化とともに墓離れ・寺離れ、そして宗教離れも進むが、「他のお寺にもレンタル制度が広がり、人々が仏教に触れる機会が増えることを」と望んでいる。