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「幽霊…」は悲しみの表れ 被災地の心霊体験と宗教者(1/5ページ)

2015年12月9日付 中外日報(深層ワイド)

死者・行方不明者約1万8千人と甚大な被害があった東日本大震災。被災地で宗教者は「幽霊を見た」などと言う人々の相談にしばしば応じてきた。幽霊の存在を肯定するにせよ否定するにせよ、被災者の苦しみや悲しみの心の表れであることには間違いない。受け入れ、寄り添いながら、共に「心の復興」の道を歩んでいくことが宗教者に求められている。(佐藤慎太郎)

被災地で傾聴活動をする僧侶

津波で妻と死別した夫が再婚した――。震災から4年以上が経過し、被災地ではそんな話題もよく聞かれるようになった。結婚式の晩、亡妻の親戚男性の枕元に女性が現れた。「ものすごい形相でにらんできてさ、おっがねかったや~(怖かったよ)」

今夏に岩手県沿岸部の仮設住宅で傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」を開いた際に、金田諦應・曹洞宗通大寺住職がその男性から相談を受けた。当人からすれば、幽霊が見えたのは「事実」だろう。話を否定せず、うなずきながら傾聴した。相談者の同意を得て共に般若心経を唱え、手製の地蔵像と数珠を渡した。

「以前ほど幽霊の話は聞かなくなってきたが、ふとした拍子に被災者の心の中から思いがせり上がってくることがある。この男性は話をして宗教的なケアを受けたことで、通勤時に避けていた、女性が亡くなった施設の前を通れるようになった」

金田住職によると、幽霊が話題になり始めたのは最初のお盆を過ぎた頃だったという。盛んに「怖い、恐ろしい」と言う人々に、「出てくるのは当たり前。震災は(死者と生者)どちらにとってもつらいことだったんだから。『こっちもちゃんとやるから、そっちもちゃんとやれ』という思いで、みんなで少しずつ元気になればいい。それでも出てくるようなら自分たち(僧侶)の出番だ」と呼び掛けた。