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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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復興へ険しい道続く被災寺院 東日本大震災から5年(1/5ページ)

2016年3月4日付 中外日報(深層ワイド)

死者1万5894人、行方不明者2562人(警察庁発表、2月10日現在)を出した東日本大震災の発生から間もなく5年。多くの被災者にとって復興に向けた厳しい道のりが依然続く中、各教団では被災地支援策が見直しの時期を迎えている。必要な支援活動を継続しつつ、いかに被災者らの実情に応じた対策を構築し、また大震災で得た教訓を次の災害時にどう生かしていこうとしているのだろうか。(池田圭、丹治隆宏、杲恵順)

支援見直す各教団

浄土真宗本願寺派は東日本大震災発生直後の2011年3月17日、仙台市青葉区の仙台別院内に「東北教区災害ボランティアセンター」を開設し、宗門内外の被災地支援ボランティアの受け皿となった。

同センターは境内の旧幼稚園舎を開放したもので、利用は無料。常駐スタッフが活動先を調整する他、シャワーや布団などが使用でき、長期滞在にも対応。また14年3月には隣接地の土地・建物を取得し、多目的ホールや宿泊室などを整備した「本願寺仙台別院教化センター」を設置した。

開設以来の利用者は延べ約2万9千人に及び、岩手県陸前高田市から福島県浪江町にかけての沿岸部を中心に、これまでがれきの撤去や施設の清掃、炊き出し、支援物資の運搬、仮設住宅訪問、農地の復旧作業、学童保育支援、写真洗浄など様々な活動を展開してきた。

ただ、同センターがホームページ上で公開している活動記録を集計(11年3月17日~今年1月末)すると、利用者は11年度7990人、12年度7609人、13年度6583人、14年度4429人、15年度2219人(1月末現在)と減少の一途をたどっている。

仙台別院の晨利信輪番は「現在は、がれきの撤去などのニーズはなく、仙台市内ではボランティア募集はほとんどない。今後、ボランティア希望者の数が盛り返すとは考えにくい」とし、「今年4月以降のボランティアの受け入れは宗門関係者に限定し、活動の中心も別院で行う被災者対象のお茶会などに移行させる方向で検討したい」と話す。

また、震災から5年近くがたち、被災寺院の課金・宗費の減免措置を見直した宗派もあるが、「寺が復興した」と判断する明確な基準があるわけではない。伽藍の再建といったハード面の整備だけでは本当の復興とは言えず、被災者の心のケアなど対人支援活動はなお息の長い取り組みが求められている。

大震災を機に、各宗派が新たに整備した災害時の対応マニュアルなどをいかに有効に機能させるのかも課題だ。