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日本から世界へ発信に期待 仏教文献データベースの現況(1/4ページ)

2016年7月13日付 中外日報(深層ワイド)

世界的にも評価が高い仏教文献の電子データベースに「SAT大正新脩大藏經テキストデータベース」(SAT DB)がある。インターネット上で公開されており、2500年にわたる仏教の伝統と智慧を日本から世界に広く発信する拠点として大きな期待が寄せられている。情報化時代にあって、各教団や仏教関係大学でも経典・典籍のデータベース化が図られる中、「SAT DB」とこれらの連携や発信の在り方を模索している。(佐藤慎太郎)

世界へ発信する「SAT大正新脩大藏經テキストデータベース」に期待

「SAT DB図像部」では、持物など諸尊の断片的な情報からも検索可能
大正新脩大藏經大正末期から昭和初期(1924~35年)に日本で刊行。漢訳経典と中国・朝鮮・日本の仏教文献を収め、全100巻1億5千万文字。高麗版を主な底本とし、テキスト部85巻、図像部12巻、目録部3巻からなる。

「大蔵経テキストデータベース研究会」は6月、従来のテキスト部分に加え『大正新脩大藏經』(『大正蔵』)の「図像部」(全12巻)を電子化し、インターネット上で公開した。東アジアの仏教美術研究にとって基本資料となると見込まれている。

諸尊の図像は、断片的な情報(面数、臂数、持物、印相、装身具など)からも検索可能で、尊像名の特定や類似尊像を見つけるための便を図っている。

東京文化財研究所と共同で、国際的なデジタルアーカイブの共有規格・IIIF(International Image Interoperability Framework)に基づくシステムを構築。大英博物館やフランス国立図書館、アメリカ公共図書館連合といった世界各国の博物館・図書館でつくる「IIIFコンソーシアム」にも参加の予定で、デジタル画像資料の相互運用に向けた準備を進めている。

過去から継承されてきた仏典や図像が知的財産として世界的に共有されることで、仏教がより広い学際的な広がりの中で理解されるきっかけになることが期待されている。同研究会代表の下田正弘・東京大教授は「仏教徒でない人々をも幸せにする力が仏教にはある。宗派や仏教学といった既存の枠組みを超えた知識の開示の仕方やその意識が、仏教を世の中に説得力をもって伝えるためには必要となる」と力説する。

順調にプロジェクトが展開している一方で、継続的な研究・公開のためには資金面での課題もある。「公共の利益に資することは、仏教の精神にもかなうはず」と、下田教授は仏教界全体に理解と資金協力を求める。