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依頼主と納得し合える仕組みを 僧侶派遣じわりじわり浸透(1/5ページ)

2016年8月10日付 中外日報(深層ワイド)

定額料金で僧侶を手配する「僧侶派遣」。インターネット通販大手のアマゾンジャパンに昨年12月、ネットメディア運営会社「みんれび」が「お坊さん便」を出品してから、新聞やテレビで頻繁に取り上げられ、人々の関心を呼んでいる。全日本仏教会や伝統仏教教団からは宗教行為を商品化しているとして批判もあるが、少子高齢化や過疎化で厳しい環境にある一般寺院の僧侶の間では派遣がじわじわと浸透しつつある。葬儀の依頼者が僧侶との付き合いを持つようになり、仏縁が深められた事例もあるが、僧侶派遣が今後、仏教界で認知されるには宗教行為の尊厳性を守りながら、僧侶と依頼主の市民が共に納得できる仕組みづくりが必要だ。(丹治隆宏、赤坂史人)

ネット上に多数ある僧侶派遣会社のホームページ

大阪府内の30代の僧侶は今年4月、役僧をしている寺院の法務として、葬祭業に新規参入した企業の寺院紹介サービスを通じて葬儀の導師を勤めた。布施は目安として示されている「5万円程度」だったという。

指定された場所に着くと、企業の担当窓口に電話をかけ、開始時間の30分前に到着していることを報告。定められた手順があり、その企業が取り扱っている位牌についても、施主に説明しなければならなかった。「葬儀会社の紹介で、施主が初対面ということはよくある。僕らとしては、やることは変わらない。だが、会社が取り扱っている商品まで薦めなければならないとなると、なんだかセールスマンのようだ」と違和感が残った。

同じ企業から紹介された葬儀はこの1件だけで、他の僧侶派遣会社との付き合いもない。「地域の葬儀会社は、地元との強いつながりを持っている。ネットでPRする派遣会社が簡単に入り込めるわけではないだろう」と冷静に見ているが、派遣会社からの紹介で葬儀を請け負った僧侶も周囲に出てきた。

派遣サービスを活用する近畿地方の40代の僧侶は「自分が登録しているとは言いづらい。知られれば、陰口をたたかれるかもしれない。話さないにしても、実際に登録している僧侶は少なくないのではないか」と話す。