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増える難民 理解進まぬ日本社会(1/4ページ)

2016年8月31日付 中外日報(深層ワイド)

世界で武力紛争や迫害により他国などに避難せざるを得ない難民が増え続けている。2015年末時点で約6530万人。第2次世界大戦後、最多となった。日本でも難民の受け入れは増えてはいるものの、難民問題への社会の理解が十分に進んでいるとは言えない。何が壁になっているのか。難民支援を実践してきた宗教者や教団の事例から、その課題を考えた。(甲田貴之)

カトリック本郷教会では日本人ボランティアと難民が一緒に食事し、交流を深める

東京都文京区のカトリック本郷教会には毎週、60人前後の外国人が訪れる。彼らはアフリカ、アジア、中東などから内戦やテロ組織による暴力、政府による弾圧など様々な理由で母国を追われた人々だ。日本に滞在する外国人をサポートするため1990年に設立されたカトリック東京国際センター(CTIC)は、同教会で食料・衣類支援をはじめ、医療相談、日本語教室、悩み相談などを行っている。

CTIC難民支援担当の有川憲治さん(54)は「訪れる人の信仰心はそれぞれ異なるが、彼らには教会なら助けてくれるだろうとの期待がある。その思いに応えるため、私たちも聖書に記されている“他者を受け入れなさい”の言葉に従って手を差し伸べている」と語る。

有川さんには忘れられない出来事がある。ベトナム、ラオス、カンボジアでの社会主義体制移行後に迫害を受けるなどで大量に難民が発生した80年代。有川さんが就労支援をしていたベトナム人は当時、就職できても日本人と比べて冷遇される状況にあり「日本には希望がない」とつぶやき、アメリカへ渡った。

「彼らは様々な事情で人権を侵害され、母国から逃れてきた。支援は物資を渡すだけでなく、傷ついた心をいかに回復させるかが重要だ」

ネパールの難民の一人、シュレサ・ミランさん(24)は「キリスト教と仏教が私を救ってくれた」と振り返る。学生時代から反政府運動に参加していたシュレサさんは2009年、友人が逮捕、殺害される中で政府機関から監視されるようになり、命の危険を感じて日本に逃げてきた。

法務省入国者収容所東日本入国管理センターから仮放免された後、CTICを紹介され、住居などの支援を受けるようになった。もともと瞑想やヨガに関心のあったシュレサさんは、一時保護施設の近隣にあった千葉県木更津市の曹洞宗真如寺に通うようになり、仏道への志を強くして11年に得度。現在は東京都杉並区の同宗永福寺で修行しながら、月に1度教会に通っている。

「教会に行くと、心が癒やされる。一方で、禅は執着から離れ、心の中の不安を消すことができる。今も不安定な状況が続くが、自暴自棄にならないのは仏教のおかげ」と笑顔を見せる。