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増える難民 理解進まぬ日本社会(2/4ページ)

2016年8月31日付 中外日報(深層ワイド)

共に生き共に学び難民支援 期待に応える宗教者の役割

「共に生き、共に学ぶ」の仏教精神など宗教の理念や教団間のネットワークが難民支援を支えてきた。しかし、さらなる支援の輪を広げるためには、まず日本で暮らす難民それぞれの宗教や生活文化への思いやりが大事だ。日本の宗教者の役割は大きい。

難民申請7586人 10年で8倍増 認定は27人

日本でも支援を求める難民は増加の一途をたどっている。法務省入国管理局によると、2015年の難民認定申請数は7586人で、10年前に比べ8倍に増えた。しかし、実際に認定されたのは27人と少ない。

国連UNHCR協会理事長の滝澤三郎・東洋英和女学院大客員教授(68)は、漠然とした不安感が日本での難民問題の理解を阻んでいると言う。「バブル崩壊後、アジア諸国が発展する中で日本人が持っていた誇りが崩れ、自信を失っている。自分の身を守ることにこだわり、見慣れない外国人が身近に住むことに不安を抱いている。多くの人が会ったこともない移民、難民に対してネガティブな印象を持ち、起きてもいない問題を憂慮している」

一人一人が実際に難民と触れ合うことこそ、理解への第一歩と滝澤教授は考える。さらに、地域などで影響力のある宗教者が、難民問題の複雑さや深刻さを踏まえた上で、前面に立って難民との橋渡しの役割を果たしてほしいと訴える。

宗教教団の組織力 難民問題啓発に期待

13年、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所は東京都渋谷区の国連大学で「信仰が支える難民保護」をテーマにシンポジウムを開催した。世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会などとの共催で、仏教、キリスト教、イスラームの代表者がそれぞれの活動を紹介した。

アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官(当時)は、ビデオメッセージで「宗教は例外なく、人間性、思いやり、敬意を重視し、人間を保護する伝統を持っている。寺や教会、モスクは強力なネットワークと専門的な知識を通じ、難民を支えてきた。地域に根差した宗教コミュニティーは難民が地域に溶け込むのを助けている」と宗教者に期待を示した。

UNHCRの公式支援窓口で、広報・募金活動を行っている国連UNHCR協会には設立した2000年当初から、約10の伝統仏教教団や新宗教教団から寄付が継続して寄せられている。

現在の寄付金収入約25億円のうち87%が個人からで、学校や団体からは5%程度だが、同協会職員である中村恵さん(56)は宗教団体が個人の寄付を促す力になっていると言う。宗教団体内の広報が、これまで難民に関心のなかった人たちへの啓発になり、個人からの寄付につながっていると分析する。