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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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増える難民 理解進まぬ日本社会(4/4ページ)

2016年8月31日付 中外日報(深層ワイド)

生命の尊さ社会に訴え 異文化交流を深める

10年に日本国籍を取得し、現在は日本名を名乗っているミャンマーの少数民族「ロヒンギャ」のハールーン・ラシッド(日本名・長谷川健一)さん(56)は、日本の難民に対する理解が不十分だと嘆きながらも、自分自身も日本になじむ努力を続けている。

長谷川さんが会長を務める在日ビルマ・ロヒンギャ協会では、昨年から群馬県館林市北成島町のモスクで地域住民との交流会を定期的に開催している。

住民からは、ごみの分別などルールを守ってくれるのかといった不安の声もあり、交流会では市の職員からごみ出しの方法について説明を受けるとともに、難民になった経緯や日本での暮らしについて話した。交流会に参加した地元住民にイスラム教の戒律に基づいて調理した米料理を振る舞った。

館林市には約200人のロヒンギャが互いに助け合いながら生活している。彼らは自国ではバングラデシュからの不法移民として国籍を与えられず、1990年以降、民主化勢力の弾圧を強化する軍事政権の抑圧から逃れてきた人々だ。

宗教者による難民支援に詳しい高橋典史・東洋大准教授は「『自分たちの日々の生活とは縁遠い異国の難民をなぜ助けなければならないのか』といった意見も少なくない日本社会の中にあって、信仰に基づいて“他者の命を救わねばならない”と支援に尽力してきた人々は掛け替えのない存在だ。日本では宗教に対してネガティブな印象を持たれがちだが、海外の人々にとって宗教は信頼できるものとしてある」と話す。

また「難民の生活の支援など、国内における支援活動の現状は、宗教組織も含めた一部の民間団体に依存している。難民問題への世間の関心を高めて、社会全体で支援活動を支えていくことが、今後の大きな課題である」。

人間の生死の問題に向き合っている宗教者こそ、難民に寄り添い、分け隔てないいのちの尊さを社会に訴える力があると高橋准教授は期待している。