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時間かけ寺社の魅力体感 一般の人に注目され始めた“寺泊”(1/4ページ)

2016年9月14日付 中外日報(深層ワイド)

様々な修行体験ができるだけでなく、寺院で長い時間を過ごすことで自分を見つめ直す機会にもなるとして、一般の人たちの間で“寺泊”の潜在力が注目され始めている。外国人観光客の増加で宿泊施設の不足が心配される中、寺泊に活路を見いだそうとする寺院もあるが、単なる宿泊場所の提供にとどまらず、日本文化を感じられる場とする工夫が求められている。(有吉英治、甲田貴之)

一般の社会人が宿泊し好評だったテンプルステイ

「忙しい日常を離れ、お寺に一晩泊まることで自分を見つめ直せた。じっくり時間をかけることに意味があるのかもしれない」

日本青年会議所(JC)徳島ブロック協議会が8月20、21日、徳島県小松島市の四国八十八ヶ所霊場19番札所・高野山真言宗立江寺で「テンプルステイ」を行った。一般企業で働く人や英語教師の外国人ら45人が参加。護摩行や阿字観、ヨガ、4キロのミニお遍路などを体験。地元で働く人たちが、遍路や寺院の魅力を再認識した。

同会のテンプルステイは今回が初めて。四国各地のJCが一つになってできることはないかと考えた際、遍路が真っ先に候補に挙がったという。「それほどお遍路は四国の人たちに根付いた文化。次世代につなげたいとの思いも強い」と、四宮朗人・同会普遍的価値共有委員会委員長(35)は説明する。

テンプルステイは参加者の仕事にも生かされそうだ。現在の遍路は車やバスで回る人が多く、スタンプラリーのようになっているとの指摘もあるが、旅行会社社員は「多くの寺院に行くだけでなく、読経や護摩行をツアーに組み入れて印象深い旅を企画したい」。また映像制作会社の経営者は「寺院の映像を残すことで文化の記録に貢献したい」と、得意の360度映像の寺院版作成に乗り出した。

地元では四国八十八ヶ所霊場を世界遺産にとの機運が高まっており、四宮委員長は「お寺だけでなく地域全体が関わって遍路文化を世界に、未来につなげていけるようにしたい」と意気込む。

寺社旅研究家の堀内克彦・宿坊研究会代表は「各地に魅力ある寺院は多いが、その良さを伝えきれていないところが目に付く。近年、宿坊に関して企業からの相談が増えただけでなく、政府関係者も関心を寄せている。お寺での宿泊はもっと増える可能性があり、寺社の秘められた価値を社会発信することにもつながるだろう」と寺泊の将来性を指摘する。