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メリット大きいが手続き煩雑の声 「指定寄付金」は制度周知がカギ(2/5ページ)

2016年9月28日付 中外日報(深層ワイド)

「もっと早く知らせてほしかった」 本堂の修復には間に合わず

行政への申請は複雑な手続きが付きものだが、震災の後片付けや復興に取り組まなければならない宗教者にとって、煩雑な申請書類の提出は大きな負担だ。また本堂等の修復後に制度を知った僧侶は「包括法人には、もっと早く知らせてほしかった」と言う。



大震災直後㊤と指定寄付金を利用して再建された曹洞宗洞福寺の山門㊦
大震災直後㊤と指定寄付金を利用して再建された曹洞宗洞福寺の山門㊦

宮城県石巻市の牡鹿半島にある曹洞宗洞福寺は本堂や庫裏、山門等全てが津波で流された。石田信孝住職(68)は「9割の檀家の家屋が流されている。口が裂けても、檀家には寄付を頼めなかった。何としても制度を利用したかったが、専門家(司法書士)を通さないと難しかった」と振り返る。

須弥壇と山門にかかる費用2800万円を指定寄付金の対象としたが、県庁(所轄庁)で須弥壇の領収書や見積書などの提示を求められ、購入した仏具店を捜して、当時の見積書を出してもらった。

申請書類の書き方等の指導で、県庁とのやりとりが2~3週ほどあり、その後、2カ月ほどたって正式な申請書を書いた。

「県庁に近いならまだしも、うちは(県庁のある)仙台まで車で2時間。しかもいつも駐車場は満車。はっきり言って素人には無理だ」とため息を漏らす。

一方、震災で壊れた擁壁を修復するために制度を利用した東京都内の寺院は「そんなに難しいとは思わなかった。行政に出す一般的な申請書類とあまり変わらなかった」と言う。

申請書類は、前年度および前々年度の収支計算書等の添付書類に加え、「建物等の概要」「(再建の)資金概況書」など10枚程度で、そう多くはない。また阪神・淡路大震災よりも一部の手続きが簡素化されている。だが、制度を利用できる要件を満たしているかどうかの判断が難しい場合や、資料の集まり状況などによっては時間がかかる場合がある。

文化庁宗務課は「決してハードルは高くない。所轄庁への相談が少ないところを見ると、難しいというイメージが先行しているのではないか。まずは相談してほしい」と呼び掛けている。

制度の仕組みの理解度の問題とともに、この制度自体の認知度の問題もある。

石田住職は制度を知ったのが遅かったことを悔やむ。知人から情報を得たのは震災から2年9カ月たった13年12月だった。既に本堂、庫裏は業者と契約済みで、指定寄付金の対象にすることはできなかった。もっと早く知っていれば、本堂等も対象にできたはずだと言う。

震災2年以上もたつと「風化」が危惧され始めていた。「すぐにでも情報が欲しかった。被災地が復興へ向かっている機運の中であれば、もっと寄付をしようという人がいたはず。実際に復興関連で来た大手ゼネコンが鳥居を寄付した例もあったのだから」