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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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メリット大きいが手続き煩雑の声 「指定寄付金」は制度周知がカギ(4/5ページ)

2016年9月28日付 中外日報(深層ワイド)

まとめて申請、復興に弾み

阪神・淡路大震災で包括法人として利用した浄土宗は被災寺院にパンフレット等を作って広報した

阪神・淡路大震災では236の宗教法人が利用し復興に弾みがついたが、東日本大震災では1割以下にとどまっている。被災3県に限れば、3法人だけだ。

利用が少ない理由については様々な議論があるが、奈良慈徹・前全日仏総務部長は「津波被害を受けた地域では集団移転があり、なかなか原状回復のための再建計画が立てられなかったからだ」とする。さらに、被害が広範囲にわたるために制度の周知が進まなかったこと▽情報を伝達すべき被災地の地域仏教会がなかったり、機能しなかった▽勧募の募集期間が3年と短いために利用しにくいと判断された――などの理由が挙げられている。

阪神・淡路大震災では包括法人の浄土宗が被災した被包括法人34カ寺をまとめて申請した。

この例が示すように、社寺、教会等の被包括法人だけでなく、包括法人が被包括の申請を一括して行うことができる。それによって被包括寺院の手続きの負担を軽減できる。

当時、浄土宗は各被災寺院の必要書類を取りまとめた上で申請した。34カ寺の建物などの原状回復に必要な経費は67億円と見積もられ、寺院側の自己資金22億円を除いた45億円を勧募目標額とした。

イラスト入りで仕組みを伝えるパンフレットを作製。制度を活用する寺院の檀信徒に限らず、収益事業を行っている寺院や企業にも周知するために、「例えば、100万円の指定寄付をした場合を想定すると、一般の寄付とは異なり、全額が損金として扱われますので、宗教法人においては27万円の減税、一般企業においては37万5千円の減税となります」などと具体的な事例も明記した。

最終的に総額約18億2800万円の浄財が集まった。そのうち、寄付金の行き先を特定の寺院に限定する「特定寄付」は約16億6千万円。制度を活用する34カ寺全てを対象として寄せられた「一般指定寄付」は1億6800万円だった。

当時、勧募に関わった関係者は、当初期待されていた企業などからの寄付金が想定よりも少なかったと振り返る。また、制度を利用して宗派が勧募を行った場合、制度を活用できなかった被災寺院には、寄付が分配できないなどの問題点もあると指摘する。