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仏教は生きている人のため 寺院と縁結ぶ「ペット供養」(1/3ページ)

2016年10月12日付 中外日報(深層ワイド)

地縁や血縁などの人との縁が希薄化する中で、「ペットは大切な家族だ」として死後に葬儀や墓、そして年忌法要など、まるで人間に対するような供養を求める人が近年増えている。人々がペットの供養をきっかけとして、新たに寺院と「縁」を結ぶ事例も出てきた。(佐藤慎太郎)

華蔵院のペット供養塔完成予想図

東京都荒川区の真言宗豊山派華蔵院では現在、境内の山門脇にペットの供養塔を建立しており、今月中にも完成する。木下榮弘住職(62)は「仏教の教えとして一番大事なことは、今生きている人のために何ができるかだ。遺骨を納めることで、ペットを亡くしたというつらい気持ちを切り替えることができるはず」と語る。

ストゥーパをイメージした円形の供養塔。内部に遺骨を納め、背後のプレートにペットの名前を刻む。焼骨のみを受け入れ、家族の立ち会いのもと回向する。檀家にも案内し、口コミ等で希望者を募り、納骨後はいつでもお参りができるようにする。

同寺には現在、これまで寺で飼ってきた犬2匹と猫2匹の遺骨と共に、檀家のペットの遺骨5、6体分も預かっていて、塔の完成後に最初に納める予定だ。

木下住職は「(供養塔を)ただの“箱もの”にしてはいけない」と話す。年に1度、供養の日を設けてペットを亡くした家族同士の横のつながりをつくる機会にしたいと考えている。

ペットの遺骨をペンダントや指輪などに加工して残すいわゆる「手元供養」も最近登場しているが、「気持ちは分かるがいつまでも持っているのは“執着”なのではないか。やはり区切りは必要。直接施主の手で供養塔に遺骨を納めてもらいたい」。

「戒名や位牌の開眼など、あまり人間と同じようにしては、教相・事相に詳しい人からは“ふさわしくない”と批判されるだろう」と教学上の配慮はしている。

しかし、飼っていたペットが亡くなった際の喪失感を「骨を受け取った時、ぽっかりと胸に穴が開いたような感覚だった」と振り返る木下住職は、「供養塔建立を機に、ペットの里親探しなどの活動にも取り組んでいきたい」と話している。