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仏教は生きている人のため 寺院と縁結ぶ「ペット供養」(2/3ページ)

2016年10月12日付 中外日報(深層ワイド)

寺院活性化の手段となるのか 家族化するペットの供養

家族や友人、パートナーとしてペットをとらえる人たちの間では、「ペットと一緒のお墓に入りたいから檀家になる」といった現象も広がりつつある。

本格的に取り組む寺院は施主への現実的教化にも

感応寺の合同供養祭後には、供養塔への納骨も行われた

東京都世田谷区の浄土宗感応寺はもともと無檀家の寺院だったが、成田淳教住職(41)が約10年前からペット供養を開始した。2005年に動物供養塔を建立するなど本格的に境内を整備し、現在では法要件数の45%がペット関係となっている。

近所の人から「境内にペットの遺骨を埋めてほしい」などの依頼があったことがきっかけだ。ホームページでの案内も始めたところ、子どもが五百円玉を握りしめて「死んだ金魚にお経を上げてほしい」と来たこともあったという。

ペット葬祭業者と提携し、境内には3基の火葬炉がある。会館の祭壇にペットの遺体を安置しての法要、火葬の後に遺骨を供養塔に埋葬といった葬儀の一連の流れが境内で可能で、「ペットを亡くしたばかりの人に安心感を持ってもらえ、負担も少ない」と成田住職は語る。

「家族の一員であるペット」が飼い主と一緒に眠れる墓も用意している。カロート内に石壁を設け、人間の遺骨と一緒にペットの遺骨を埋葬することができる。新たに造成した境内墓地が150区画あり、ほとんど埋まっているが、そのうちの2割ほどが、ペットの遺骨と共に眠ることを希望しているという。

春と秋には、これまで葬儀や納骨などを通して縁のあったペットの合同供養祭を営む。20回目を迎えた先月25日の供養祭には、400人ほどが参列。亡き「家族」への深い愛情を思い出していた。

供養では法話もするが、その際には「極楽浄土で再会できると語り掛けるなど、施主がお浄土へ行きたくなるような話をしている。ペットの往生について宗内に議論があることも承知しているが、それは阿弥陀様がご存じで人間には分からないこと。『ペットは往生しない』と説くよりは、施主への現実的な教化にもなる」と言う。

成田住職は「寺院はいろんなことができる場所であり、その一つの部門として(ペット供養を)大切にしていきたい」と将来を見据える。

お寺と関わり深いペット葬祭業者はそんなに甘くはない

ペット葬祭業者の団体に全国ペット霊園協会がある。寺院直営の霊園事業者も会員となっており、慰霊・供養の場所として各寺院の境内施設の利用について提携。読経をする僧侶の派遣などで、ペット葬祭業者と寺院・僧侶との関わりは深い。

同協会では「地域にとってペット葬祭事業は有意義で欠かせない存在だと認知」されるような活動を心掛けてきた。

会長の神山孝・よこはま動物葬儀センター代表(71)は「ここまでペット供養が広がるのには時間がかかった。45年ほどペット火葬業をやっているが、“あんな仕事”と思われていた時代もある。これからも社会から理解を得られるように努力をしていく」と語る。

そして、これから様々な形でペット供養に取り組もうとする寺院には、「少しでもお寺に足を運んでもらおうと思ってのことだろうが、そんなに現実は甘くはない。ペットの納骨堂を造ったはいいが、檀家のペットだけの納骨で全然埋まらなかったというケースもある。宣伝・広報などの点で、どうしても業者との提携が必要になるのではないか」と、同協会との連携を呼び掛ける。