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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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寺と地域の連携に課題 南海トラフ地震への備えは(2/5ページ)

2016年10月26日付 中外日報(深層ワイド)

南海トラフ地震の場合、大規模な火災や家屋の倒壊、津波襲来の恐れがある。また、発生時はライフラインの寸断も必至だが、関西在住の宗教者はどのような対策を講じているのか。

本願寺津村別院都心の避難所を想定 緊急組織、マニュアルも

津村別院では大阪市から提供された食料品の他、発電機や簡易トイレなどを備蓄している

大阪市中央区の水害時避難施設に民間第1号で指定された浄土真宗本願寺派の本願寺津村別院では、南海トラフ地震が発生した場合、発生から約2時間後に最大で1~2メートルの津波が来る恐れがある。敷地は石垣の上にあり、隣接する御堂筋から約5メートル弱の高さにあるため、想定される津波の高さでは浸水しないとみられる。

近隣はオフィスビルが立ち並ぶため、有事の際は多くの会社員らが同別院に避難することになる。被災時は、一時避難所として帰宅困難者を千人、ライフラインが寸断されるなどの甚大な災害時は収容避難所として300~900人を受け入れる想定をしている。

また、市から提供される2~3日分の食糧や水などと共に発電機や簡易トイレなども備蓄し、受け入れ態勢を整えている。さらに災害が起きたときに迅速な対応ができるよう「災害時組織体制」を策定し、職員の状況把握や、部署ごとに大まかなマニュアルを決めている。

災害発生時は本尊や経典などを守る「法(宝)物安全管理部」、同寺やその界隈の被災状況、直門徒の安否確認を行う「災害情報収集部」、避難者のケアや遺体安置所の設置などを担う「被災者・避難者対応部」の三つの組織を編成することになっている。

さらに、大阪市周辺以外の地域が被災した場合も、支援物資の募集や義援金、ボランティアの受け付けなどができるよう組織図を策定。阪神・淡路大震災では同別院も瓦が落ちたりガラスが割れたりするなど被災したが、神戸市など甚大な被害が出た地域に近かったため、支援の拠点になった前例がある。

佐々木善秀・伝道教化部賛事参勤(44)は、別院入所1年目に阪神・淡路大震災を経験した。現在は災害対応などを担当している。「寺院が社会的役割を担うのは当然。非常時にいかに臨機応変に対応できるかが問われているので、その備えをしっかりしていきたい」と力を込める。