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宗教界の対応が問われる 日弁連が「2020年までに死刑廃止」宣言(1/4ページ)

2016年11月9日付 中外日報(深層ワイド)

日本弁護士連合会は10月、「生命に対する権利と両立し難い制度」だとして、2020年までに死刑廃止を目指す「宣言」を発表した。死刑制度をめぐり世論はなお容認派が8割前後を占めるが、反対派は宣言を追い風に運動の高まりに期待を寄せる。宣言には制度をめぐる国民的な議論を深める狙いもある。死刑制度の廃止に向けた「第一歩」になるのか。命の尊厳を訴える宗教界の対応が問われている。(飯川道弘)

死刑廃止に向け日伊の国会議員や宗教者が意見を交わした聖エジディオ共同体のシンポジウム

「非常に重要な問題提起」「画期的なことだ」――。10月14日、イタリアのカトリック系社会団体、聖エジディオ共同体が東京で開いた「共に死刑を考える国際シンポジウム」で、参加者からは日弁連の死刑廃止宣言を歓迎する声が相次いだ。

法相在職中に死刑執行署名を拒んだ日弁連死刑廃止検討委員会顧問で真宗大谷派門徒の杉浦正健弁護士は「ローマは一日にして成らず。(廃止への)第一歩が踏み出された」と述べ、今後の運動の進展に期待を込めた。

宣言は日弁連が福井市で開いた人権擁護大会で採択された。「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」で、全文は23ページになる。

死刑は基本的人権の核となる生命に対する権利を国が奪う制度であり、国連などから廃止を検討するよう勧告されていることや、死刑判決には誤判や冤罪の恐れがあり、執行されれば取り返しがつかないこと、国際社会の大勢は死刑廃止に向かっており、現実に死刑を執行している国は例外的な存在であることなど提案理由を列記。

「国連犯罪防止・刑事司法会議」が日本で開かれる2020年までに死刑の廃止を目指すとともに、凶悪犯罪に対する代替刑として仮釈放の可能性のない終身刑や、仮釈放の開始時期を現行の10年より遅らせる「重無期刑」の導入を検討するよう求めている。

併せて世界の刑罰の流れに沿って懲役刑を廃止し、強制労働ではなく労働との対価性を認める賃金制を採用するなど、刑罰制度全体を受刑者の改善更生と社会復帰を支援する内容に改めるべきだとしている。

超宗派で死刑の停止・廃止に取り組む「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク事務局世話人の雨森慶為・真宗大谷派解放運動推進本部委員は「東京オリンピックが開かれる2020年は、廃止か維持かの分かれ目になるだろう」と話す。